人民元に注目してわかること | ピクテ投信投資顧問株式会社

人民元に注目してわかること アジア 中国

2016年年初からの世界株式市場の下落の背景は中国株急落と人民元安が原因として指摘されています。人民元安には輸出の改善が期待される面もあるものの、次の点がマイナス要因となっているものと思われます。

中国人民元:中国人民銀行が中心レートを引き上げ

中国人民銀行(中央銀行、人民銀)は2016年1月8日、人民元の中心レートを1ドル=6.5636元と、前日のレート(6.5646)から引き上げました(図表1参照)。人民銀が人民元の中心レ ートを9営業日ぶりに引き上げたことを受けて、リスク回避の動きに緩和が見られ8日に日本円は対ドルで1ドル=118円台へと円安方向へ転じました。7日の外国為替市場で日本円は一時117円台へと円高が進行する局面もありました。

どこに注目すべきか:資本流出、海外人民元、外貨準備高

2016年年初からの世界株式市場の下落の背景は中国株急落と人民元安が原因として指摘されています。人民元安には輸出の改善が期待される面もあるものの、次の点がマイナス要因となっているものと思われます。

1つ目は資本の流出懸念です。人民元の資本フローを推定したデータ(中国国内銀行の外貨取得と外貨預金等の変化を貿易収支と直接投資のフローで調整)で見ても、2014年から減少傾向で、2015年はほぼ流出傾向が見られるなど、資本流出懸念は強いと見られます。

2つ目は中国当局の通貨(人民元)政策への懸念です。人民元はドルと緩やかに連動(ペッグ)しているため、ドルの上昇に伴い人民元も連動して、ドル以外の他の通貨に対して人民元高となっていました。例えば、過去3年間で円はドルに対して3割以上円安となっていますが、人民元は対ドルで小幅安にとどまっています。そのため実質実効レート上昇、輸出競争力低下がじわじわと進行していました。

それでも国際通貨基金の特別引き出し権(SDR)入りを目指し、人民元はドルに対し2015年8月以前はペッグを維持していました。SDR採用後、制約の小さい海外人民元主導で人民元安が加速しています。過去に行うべきだった人民元安への調整が先送りされたことで、例えば年初中国景気指標が市場予想を下回るなど中国景気が悪化していました。人民元は1日の値幅が制限されるなど管理相場で、逆に言えば当局の意向をある程度市場動向に反映させやすいことから、最近では人民元安の放置は中国経済はデータ以上に悪いのではと連想されやすくなっており、当局の対応が困難となっています。加えて、市場介入の原資たる外貨準備高は豊富とはいえ減少傾向で(図表2参照)その動向にも注意は必要となっています。このように、景気悪化への連想を背景に人民元安が株式市場の下落要因と見られる状況で、(輸出にはプラスの)人民元安を抑制するのか、それとも放置するのかこれまでの対応を見ると一貫性を欠いており、当局の為替運営に対し市場の懸念が強まっていることもマイナス要因となっていると見られます。

最後に、人民元とは直接関係ありませんが、中国のデータには外貨建て債務など実態がわかりにくいものが見られ、特に不安心理が高まった時はマイナス要因になると思われます。

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