対イランの経済制裁解除と原油市場 | ピクテ投信投資顧問株式会社

対イランの経済制裁解除と原油市場 中東

イランの核開発問題を巡る問題が最終合意に至ったことにより、同国に対する経済制裁が解除されることで、イランからの原油輸出は増加が見込まれますが、原油市場は既にある程度織り込んだものと思われます。

対イラン経済制裁の解除宣言:IAEAが核開発の制限履行を確認

国際原子力機関(IAEA)は2016年1月16日、イランが欧米など6ヵ国(米英仏独露中)との最終合意に従って核開発の制限を履行したことを確認しました。また「イランの核開発に関連する経済制裁は解除される」との内容の共同声明を発表しました。発表を受けイランのザマニニア副石油相は原油輸出を直ちに日量50万バレル増やすことを目指していると述べています。これに加え、イランは数ヵ月以内にさらに50万バレル増やす計画を示唆しています(図表1参照)。

どこに注目すべきか:イラン核開発問題、制裁解除、輸出再開

近年(2002年頃)、イランの核開発疑惑が浮上して以来、米国を中心とした国際社会とイランの原油取引は停滞していました。1月16日の核開発問題を巡る最終合意によりイランに対する制裁解除の道筋が本格的に開かれたことで、イランからの原油の輸出は増加が見込まれますが、合意プロセスは以前より始まっており、イランの原油輸出について、原油市場はある程度、既に織り込んだものと思われます。

まず、イランが表明した原油輸出の増加量は当面50万バレル、数ヵ月以内でさらに50万バレルで合計100万バレルを目指している模様です。2010年以降の制裁で減少した分を埋め合わせるのが当面の目標という印象です(図表1参照)。ただし、イランの石油の生産設備は老朽化している模様で、目標量を確保するには設備の更新も必要と思われます。

次に、対イランの経済制裁を振り返ると、解除の兆候は穏健派のロウハニ大統領が2013年に就任後から見られます。イランへの経済制裁は同国の経済成長に大きな影響を与えてきており(図表2参照)、アハマディネジャド前大統領の国際社会との対立路線とは対照的に、ロウハニ大統領就任後にイランと主要国との核開発に関する協議は進展しました。2014年には米国、欧州連合(EU)が制裁を一部解除、そして2015年7月にイランと6ヵ国の間で合意は成立しており、今回(2016年1月)の合意は最終的との位置づけですが、市場ではイランの原油生産拡大はある程度織り込んでいたと思われます。

したがって、条件反射的な原油価格の急落はともかく、新規の売り材料とは見込みにくいと見られます。しかし原油の供給が需要を上回る中、イランの原油生産が回復するならば、原油価格の回復を遅らせる要因に加わる可能性は考えられます。

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