ブラジル中銀、景気重視への変化 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル中銀、景気重視への変化 中南米 ブラジル

ブラジル中銀は、通貨レアル安やインフレ懸念などを背景に利上げが実施されるとの見方がある中、政策金利を据え置きました。従来のインフレ重視から景気重視へと金融政策のスタンスの変化が見られます。

ブラジル中銀:政策金利を据え置き

ブラジル中央銀行は2016年1月20日、金融政策委員会(Copom)を開催し、政策金利を14.25%で据え置くことを決定しました。声明では、政策金利の据え置きは全会一致の決定ではなく、8人の委員のうち2人が0.5%の利上げを主張し、6人が据え置きを支持しています。

事前の市場予想は当初、0.5%の利上げ予想が大勢でしたが、2015年1月19日に国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでブラジルの経済成長率が大幅に悪化するとの予想を公表した後、ブラジル中銀が同日に景気への配慮を示唆する(異例の)声明を発表したことを受け、直前になり市場では据え置き予想も広がっていました。

どこに注目すべきか:景気重視への変化、政治的圧力

通貨レアル安とインフレ懸念や、米国の利上げへの追随を背景に、市場では利上げも予想されていたブラジルですが、世界経済の不確実性の高まりを理由に政策金利の据え置きを決定しました。

まず、米国が利上げを開始した前後において、ブラジルの近隣諸国の金融政策を見るとコロンビアやメキシコのように米国の利上げに合わせる形で政策金利を引き上げる動きが見られます(図表1参照)。金利差拡大が自国の通貨安要因となることを防ぐのが目的と見られます。

したがって、高インフレ率と通貨レアル安が懸念されるブラジルでも利上げの可能性があると市場では見られていました。

しかし、今回のブラジル中銀の声明(通常前の月の内容とほとんど変化が無いことが多い)には景気への懸念が示され、声明に、「現時点におけるリスクバランス、そして国内情勢および主に海外情勢の不確実性の増大」への懸念が、従来のマクロ経済とインフレへの懸念に加えられています。特に国外はブラジルの貿易相手国である中国の景気や資源価格の動向が想定されますが、従来のインフレ重視のスタンスから景気重視への変化が見られます。

そこでブラジルの経済状況を確認すると、GDP成長率はマイナス圏で景気後退の状況です。そのうえIMFの予想では2016年は年率-3.5%と成長率の更なる低下が見込まれています。資源価格の下落、財政支出の削減などが主な要因と思われますが、高金利によるコスト高も景気に相当なマイナス要因と見られます。ただし金融政策委員会で2人が0.5%の利上げを支持したように、インフレ率も高止まりしており、ブラジル中銀のインフレ目標(4.5%)の倍以上の水準で推移しています。

ただし、気になるのは何故ブラジル中銀がこの時点で変化を見せたのかに注意は必要です。経済見通しの悪化に加え、政治的圧力も利上げ見送りの理由となった可能性もあります。例えば、労働者党や業界団体、労働組合が景気回復を優先するため利上げを見送るよう中銀に求めるとの報道なども見られます。万一、市場がこの点を懸念した場合、ブラジル中銀が想定する以上にレアルの変動が高くなるリスクに注意は必要と見ています。

国外の不透明要因は具体的に何をさしているかなど1月28日公表予定の議事録で内容を確認する必要はありますが、ブラジル中銀は金融政策の優先順位で景気を重視する姿勢に変化した可能性があると見られます。

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