中国の金融政策に見る期待と不安 | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国の金融政策に見る期待と不安 アジア 中国

中国の銀行間金利は春節による連休を前に上昇しましたが、人民銀の対応により落ち着きを取り戻しています。ただし、金利引き下げの手法が通常のオペだった背景が市場への配慮であった可能性もあり、問題は残ると思われます。

中国人民銀資金供給:定例オペで7兆円規模 - 春節前の金利上昇抑制を意図

中国の中央銀行である中国人民銀行(人民銀)は2016年1月21日、定例の公開市場操作で短期の金融市場に合わせて4千億人民元(日本円で7兆円余り)の資金を供給したと発表しました。中国当局が、短期の金融市場に向けて1度に供給した額としては2013年2月以来の大きさです。

中国では、旧正月の春節前に企業などがお金を引き出す需要が高まる傾向が見られます。また、中国の金融市場では、このところ中国経済の先行きへの懸念などから、一部の資金は海外に流出、外貨準備の減少につながっている(図表2参照)ことを懸念する声も聞かれます。

どこに注目すべきか:レポ金利、中期貸出ファシリティ、人民元

中国の銀行間金利は春節(2016年は2月7日から2月13日)による連休を前に上昇(図表1参照)しましたが、人民銀の対応により落ち着きを取り戻しています。ただし、金利引き下げの手法が通常のオペだった背景が市場への配慮であった可能性もあり、問題が残る可能性もあります。

まず、中国の資金需給を反映する傾向がある銀行間レート(7日物レポ金利)の推移を見ると、2016年1月18日には一時的には4.5%程度まで急上昇(終値3.8%)しています。しかし、人民銀の21日のオペなどにより、レポ金利は落ち着きを取り戻しています(図表1参照)。

人民銀の対応はレポによる資金供給に加え、中期資金に対し中期貸出ファシリティ、常設貸出ファシリティなどの流動性供給手段も用いたと発表しています。また、報道によると一部金融機関には取引金利を一定水準以下に抑える窓口規制も行われたと報じています。仮に短期金利上昇を放置した場合、株価下落などを引き起こす懸念もあり、使える手段は何でも使って、ようやく落ち着きを取り戻した格好です。

しかしながら、より強力な緩和手段である預金準備率引下げ等は見送られています。今回のオペなどによる流動性供給は期限がきたら延長をしない限り、流動性が元に戻ります。一方で、預金準備率の引下げであれば効果は持続的で、本来であれば預金準備率の引下げが選択されても良い局面です。しかし、現在の市場環境で金融緩和姿勢を強めると人民元安誘導と市場に解釈され、資本逃避を引き起こす懸念もあり、当局が市場に配慮した可能性が考えられます。輸出が多い中国で人民元安が株価にプラスとならないのも単純に考えれば皮肉な話しですが、原因の一つに、中国当局のコミュニケーション不足が考えられます。例えば、週末のダボス会議で、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は中国が市場重視の為替レート形成への移行で起こした最近の混乱に触れ、中国当局のコミュニケーションの問題を指摘、改善を求めています。

中国は2016年、長年の課題である過剰投資など供給サイドの問題にメスを入れる模様ですが、金融政策で見せた市場への配慮に加えコミュニケーションの改善が必要と思われます。

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