預金準備率引下げ、人民元にショックを与えず | ピクテ投信投資顧問株式会社

預金準備率引下げ、人民元にショックを与えず アジア 中国

上海G20が終わり、3月5日から全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が開幕するこの時期に中国人民銀行(人民銀)は預金準備率を引き下げ流動性を供給しましたが、人民元安などは確認されていない状況です。

中国人民銀:2016年初めて預金準備率を引き下げ、景気下支え策を強化の方向か

中国人民銀行(人民銀)は2016年2月29日、声明で預金準備率(3月1日適用)の0.5%引き下げを公表、大手銀行の準備率は17%となります(図表1参照)。

人民銀の周小川総裁は上海で開催された20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議開幕前に、必要ならば追加行動が可能と金融緩和の可能性を示唆していました。また、楼継偉財政相は経済の構造改革を支えるため、財政赤字を拡大させるとも述べています。

どこに注目すべきか:預金準備率、供給サイド改革、全人代

上海G20が終わり、3月5日の全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)開幕前に、人民銀は預金準備率を引き下げ流動性を供給しました。注目点は次の通りです。

まず、テクニカルな問題として、市場への資金供給方法を期限がきたら元に戻るオペでなく、今回は恒久的な資金供給拡大となる預金準備率への変更と見ています(参考:今日のヘッドライン2016年1月25日号)。人民元建預金残高と引下げ率から7,000億元程度の資金供給増と見込まれます。一方、3月期限のオペは(報道では)1兆元を超える程度が見込まれ、恒久的な流動性への置き換えが見込まれます。

次に、タイミングの問題です。1月の流動性供給で公開オペを選択した理由は金融緩和が人民元安を引き起こす懸念があったからでしたが、今回、人民銀が不十分ながら事前のアナウンスをしたことや、足元の市場環境の落ち着きなどを受け変動が抑えられた可能性も考えられます。例えば2016年年初には製造業購買担当者景気指数(PMI)の低下が中国の株安、人民元安の引き金となりましたが、3月1日に公表された2月の財新PMIは48.0と前の月から0.4低下しましたが(図表2参照)、市場への影響は小幅に止まりました。

最後に、今後の注目点ですが、中国は年内あと3回の預金準備率引下げと2回の利下げもありえると見ています。ただし回数だけに目を向けるより、金融緩和により供給される流動性が株式市場や人民元にプラスとなるかに関心を払うことが大切です。例えば中国の構造問題である過剰債務の解消はプラス要因ですが、その温床となっているのは地方政府の債務で、その解消には債務交換が必要で、実施には国債発行も想定されるため流動性の供与が役に立つ場面が想定されます。また、中国は鉄鋼や石炭セクターなどで顕著な過剰設備の削減を進める必要がありますが、単に削減を唱えるだけでは難しく、地下鉄や水道など遅れているインフラ整備などを組み合わせ、バランスを取る必要があると思われます。

中国で長年回避されてきた供給サイドの改革(過剰設備の削減や、それらを放置していた国有企業の改革)に着手する動きが年初から見られます。5日からの全人代ではどこまで具体的に食い込めるかに注目しており、今回の金融緩和も構造改革の一連の流れの中で捉えるべきと見ています。

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