カーニー総裁のお言葉 | ピクテ投信投資顧問株式会社

カーニー総裁のお言葉 欧州/ユーロ圏 英国

カーニー総裁の講演はマイナス金利政策を批判した点が注目されていますが、同総裁は「協調政策による経済成長」というよりは、金融政策だけに頼る傾向がある現在の経済政策運営への懸念を示したものとも見られます。

英中銀総裁:G20はマイナス金利の「ゼロサムゲーム」回避を

イングランド銀行(英国中央銀)のカーニー総裁は2016年2月26日、上海での20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でマイナス金利など最近の金融政策について講演を行いました。同総裁はマイナス金利政策の功罪に言及、景気(内需)への寄与は限定的ながら、為替レートには影響(為替安)すると述べ、これは当事国には魅力的でも(他国も追随すれば)ゼロサムゲーム(誰かの得は、誰かの損になる)でしかないと懸念を示しました。

どこに注目すべきか:ゼロサムゲーム、マイナス金利、通貨安

カーニー総裁の講演はマイナス金利政策を批判した点が注目されています。同総裁は上海G20のメッセージでもある「協調政策による経済成長」と整合的となるよう、ともすると金融政策だけに頼る傾向がある現在の経済政策運営に懸念を示す流れの中でマイナス金利政策に言及しています。

まず、政策金利の上げ下げを主体とした金融政策運営を伝統的金融政策、それ以外、例えば量的金融緩和やマイナス金利政策を非伝統的金融政策と呼びます。

まず、カーニー総裁は2008年の金融危機後を振り返り、(特に量的金融緩和による)非伝統的金融政策のプラス面を2つあげています。1つ目は、時間を買う効果です。金融危機後、事後の対策として例えば不透明な取引の温床とも言われていた店頭派生商品取引を取引所に集中させたり、金融機関の資本が積み上げられています。講演の資料でもユーロ圏の銀行の自己資本比率が危機当時は6%程度に過ぎなかったものが、現在は倍程度(約12%)の水準となっていることが示されています。

2つ目はマイナス金利導入前から、名目金利はプラスでも、均衡実質金利(景気に中立的と推定される金利)はマイナスにあったと考えられる中、非伝統的金融政策がマイナスの緩和分を補う役割を負っていたと考えられるからです。

しかし、非伝統的金融政策の問題点も指摘しています。

1つ目は効果が長続きしないことです。したがって、効果が低下したら政策の追加(量を増やす)が必要となります。

2つ目は、注目となったマイナス金利政策の問題です。カーニー総裁は個人の預金金利をゼロ未満としないという制約などがある中では銀行への負担が高まり、マイナス金利が内需を刺激する効果はあまり期待できないと述べる一方、為替レートには大きく影響すると述べています(図表1参照)。しかし、問題は(経済規模の小さな国だけが緊急避難的に実施するならともかく)、他国も追随する状況では競争的な切下げとなり、ゼロサムゲームでしかないと指摘、通貨安戦争に陥らないよう警告しています。

カーニー総裁の講演内容から次のことが考えられます。

まず、金融政策頼みの結果、新たな追加策の必要に迫られマイナス金利導入にまで至りましたが、今後は財政政策など協調政策による景気刺激が必要で、どちらかというと後ろ向きであった財政政策などにG20の国々が前向きに取り組めるかに注目しています。

もう一つは来週政策理事会を開催する欧州中央銀行(ECB)がカーニー総裁に耳を傾けるかです。マイナス金利の銀行セクターへの影響を考慮すれば、市場が期待するほどにはマイナス金利を拡大しない可能性もあると見ています。

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