人民元、落ち着きは見られるが | ピクテ投信投資顧問株式会社

人民元、落ち着きは見られるが アジア 中国

人民銀の周総裁の発言は、金融緩和を続ける中国が景気支援のために通貨安政策を取りづらい背景は外貨建て債務の水準が高いこと、そしてその解消は道半ばであることを示唆したとも見られます。

中国人民銀総裁:北京のフォーラムで、周小川総裁は中国企業の債務拡大に警鐘

中国人民銀行(人民銀)の周小川総裁は2016年3月20日、北京で開催されたフォーラムで、中国企業の借り入れ対GDP(国内総生産)比率が高過ぎると指摘、中国はより安定した資本市場を発展させる必要があるとの認識を明らかにしました。周総裁は中国企業の債務水準の高さに対し警告したとも受け取れる発言となっています(図表1参照)。周総裁は、中国が違法な資金調達の問題を抱えていることと、外貨建ての行き過ぎた借入(レバレッジ)を防ぐ規制が引き続き必要だと訴えています。特にレバレッジ比率が高くなれば、マクロ経済リスクの影響をより受けやすくなるとも述べています。

どこに注目すべきか:ドル建債務、キャリー取引、外貨準備高

人民銀の周総裁の発言は、金融緩和を続ける中国が景気支援のために通貨安政策を取りづらい背景は外貨建て債務の水準が高いこと、そしてその解消は道半ばであることを示唆したとも見られます。

2015年8月頃、人民元安に伴い株式市場などが変動して以降、国際機関は中国企業の債務問題を指摘しています。例えば国際決済銀行(BIS)は四半期報告で新興国、特に中国(そしてブラジル)の民間部門の債務の増加ペースに対し警告しています(図表1参照)。また、経済協力開発機構(OECD)は中国企業の債務がGDP(国内総生産)比率で160%に達していると指摘、特に借入比率が高い部門として、セメントや鉄鋼、石炭、といった業種をあげ、中国に対処の必要性を指摘しています。

次に、BISの四半期報告を参考に、ドル建債務と人民元の問題を見ると、中国企業は人民元とドルの関係が安定的であった時期に調達コストの低いドルの借入を増やしていた模様です。一方、調達した資金が投資(またはオフショア人民元預金も選択肢)されていた可能性をBISは指摘しており、いわば巨大なキャリー取引が行われてきたと見られます。しかし、米国の利上げ観測と、人民元の(対ドル)引下げで、ドル債務の返済が加速したものと見られます。中国当局は人民元安を抑制するための為替介入で外貨準備を使用したことが、外貨準備高減少の背景と見られます(図表2参照)。

足元の人民元市場は落ち着きを取り戻し、2016年2月の外貨準備高の減少ペースに鈍化も見られ、中国企業の債務返済の動きに落ち着きも見られます。しかし、周総裁の発言は債務解消は道半ばであることを当局が認めたと解釈でき、今後も中国企業の債務問題には注視が必要と見ています。

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