ルセフ大統領の弾劾手続き進展、暫定政権の政策動向にも注目 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ルセフ大統領の弾劾手続き進展、暫定政権の政策動向にも注目 中南米 ブラジル

2016年5月12日、ブラジル上院はルセフ大統領の弾劾手続きの継続を賛成多数で可決しました。ルセフ大統領の停職により大統領代行となったテメル副大統領による政策動向に注目が集まっています。

ブラジル上院:弾劾手続きの継続について賛成多数で可決

2016年5月12日、ブラジルの上院はルセフ大統領に対する弾劾手続きの継続について賛成多数(賛成55、反対22)で可決しました。弾劾手続きの継続が決まったことで、ルセフ大統領は最大で180日間の停職となり、大統領の職務はテメル副大統領が代行することになります(図表1参照)。

今後については、上院で弾劾裁判が開催され、上院の3分の2(54議席)以上の賛成により、ルセフ大統領は失職することになります。

テメル氏は同日、就任後初の記者会見を行い、失業者が1,100万人に達し、物価上昇率もほぼ2桁という経済状況に危機感を表明、暫定政権を「救国」のための政府と位置づけました。テメル氏は早速組閣に取り組み、財務相にエンリケ・メイレレス前ブラジル中銀総裁を任命しました。

どこに注目すべきか:弾劾手続きと暫定政権の動向

ルセフ氏の弾劾手続きの継続の賛成が55となり、弾劾裁判での最終的な可決に必要な54議席を上回ったことから、ルセフ氏の失職が視野に入ってきました。

今後について、テメル氏率いる暫定政権がブラジル経済を回復できるかどうかに焦点をあてると、次の点に注目が必要と考えます。

まず、組閣の顔ぶれです。この点ではプラスの期待もあります。例えば、財務相に任命されたエンリケ氏は今後、財政健全化など市場に歓迎される政策を打ち出す可能性があり、市場に一定の期待が見られます。ただし、他の閣僚ポストは未定の部分も多く、最終的な評価は今後の決定を見る必要があります。

次に、暫定政権のまとまりです。テメル氏の政策ですが、報道などからは、省庁をスリム化し、民間部門の活動余地を広げる意向があるように思われます。このような政策はブラジルの構造問題である高コスト解消への期待という点で市場は前向きに評価する可能性はあるといえます。特に、社会保障制度の赤字が予算編成のネックとなる中、例えば社会保障省の今後の動向などが注目点となるかもしれません。

そこで暫定政権が構造改革に一枚岩で取り組めるかどうかが重要なポイントになると見られます。議会ではルセフ大統領弾劾に反対したテメル氏に対する抵抗勢力が存在する上、暫定政権の中でも足並みが揃わなければ、かえって政治混乱が深刻化する懸念も考えられる点に注意が必要です。

暫定政権の動向を占う上で、財政目標策定の動きに注目しています。テメル暫定政権は2016年財政目標(プライマリーバランス(基礎的財政収支)の対GDP(国内総生産)比率:現行は0.4%)を早急に策定する必要がありますが、過去、議会では財政目標の策定に手間取っており、暫定政権が一枚岩で動けるかどうかの試金石となりそうです。

ルセフ氏の弾劾手続きは今後も混乱する局面があるかもしれませんが、最終的に上院で弾劾が可決される可能性が高いとみられます。ただし、ブラジル経済の本格的な回復のためには、弾劾手続きの進展だけでは不十分であり、暫定政権が取り組むべき課題は多くあるものと考えられます。

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