中国固定資産投資が示唆する問題点 | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国固定資産投資が示唆する問題点 アジア 中国

6月の中国統計集中日であった13日の指標から、中国景気は足元安定を取り戻していますが(過去に当レポートで指摘してたように)、内需拡大の持続性には不安が残る内容でした。

中国5月固定資産投資:軟調な民間部門の固定資産投資を受け伸びは鈍化

中国国家統計局(NBS)が2016年6月13日に発表した1-5月の中国固定資産投資は前年比9.6%増加し、前月(同10.5%)、市場予想(同10.5%)を下回りました。内訳を見ると、1-5月の民間部門の固定資産投資は前年比3.9%と低水準となった一方、公的部門は23.3%となりました(図表1参照)。

どこに注目すべきか:固定資産投資、インフラ投資、債務水準

6月の中国統計集中日であった13日の指標から、中国景気は足元安定を取り戻していますが(過去に当レポートで指摘したように)、内需拡大の持続性には不安が残る内容でした。

まず、安定が見られたのは鉱工業生産や小売です。例えば、前年比6%と前月と同水準を維持した5月の鉱工業生産は石炭など鉱業は低下しましたが、好調な自動車生産などの伸びが打ち消す形となっています。5月の小売も前年比10.0%と前月とほぼ変わらず、不振だった電気用品が堅調な自動車販売等で相殺された格好です。

一方、固定資産投資について次の点を懸念しています。

1点目は固定資産投資の約6割を占める民間部門の不振です。民間部門が不調な背景として、鉄鋼や石炭などの需要が低迷していることや、金融機関が融資に消極的で民間企業の投資余力が低下していることが懸念されます。

2点目は公的部門の伸びに過熱感が見られることです。公的部門の投資先としては鉄道などインフラ投資が大幅に伸びています。また、不動産開発のための土地取得も拡大しています。ただし、公的部門の伸びは5月が前年比23.3%と全体のトレンドと乖離(かいり)しています(図表1参照)。公的部門の高い伸びが持続できるかに疑問も残ります。

最後に、中国国営企業の債務水準に対する懸念です(図表2参照)。先の公的部門の投資拡大には中国国営企業が大きく関与していますが、債務水準も高くなっています。中国の国家全体の債務対GDP(国内総生産)比率は2015年末で約255%と2008年末の約150%に比べ急増していますが、内訳を見ると企業、とりわけ国営企業の占める割合が高水準となっています。6月11日に国際通貨基金(IMF)が中国の債務問題を指摘したときもこの点を懸念しており、例えばIMFの計算では企業債務の過半(55%程度)は国営企業で占められ他国に比べ高いと指摘しています。IMFの指摘を待つまでも無く、中国の債務とりわけ足元の成長を下支えした国営企業の債務削減が将来必要と見られます。なお、気になるのは当局が債務削減の手段として債務の株式化など技術的な話題に終始している点です。不良債権買取の基金など本格的な対応の検討が将来的に必要かもしれません。ただし、中国の債務水準はトータルで見れば先進国並みであり、外部環境が安定的ならば、対応可能な水準と見ることも可能と考えています。

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