英国国民投票後、格付け会社はかく語る | ピクテ投信投資顧問株式会社

英国国民投票後、格付け会社はかく語る 欧州/ユーロ圏 英国

英国の国民投票の結果は事前の大方の予想に反したため、先行きの不透明感が広がり、様々な憶測、分析が報道されています。当レポートでは英国国民投票後の格付け会社の対応、コメントをベースに今後の展開を占います。

英国長期債格付け:ムーディーズは英国の見通しを弱含み(ネガティブ)へ

英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票でEU離脱の意思が示されたことを受け、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は2016年6月24日に英国の長期発行体・債務格付けの見通しを「安定的」から「弱含み(ネガティブ)」に引き下げました。格付けはAa1(AA+に相当)としています(図表1参照)。

どこに注目すべきか:EU離脱プロセス、財政収支、外貨準備高

英国の国民投票の結果は事前の大方の予想に反したこともあり、世界中の市場で変動性が上昇しました。先行きが不透明なことから、様々な憶測、分析が報道されていますが、当レポートでは英国国民投票後の格付け会社の対応、コメントをベースに今後の展開を占います。

まず、直後にアクションを起こしたのはムーディーズです。英国の格付け見通しを24日に早速、弱含み(中長期的に格下げの可能性を示唆)としました。ムーディーズが見通しを引き下げた主な理由は、英国が今後EUからの離脱のプロセスにおいて経済や貿易の協定を結ぶのに長い期間を要することが想定されることで、経済成長への下押し圧力になることが懸念されます。例えば、ムーディーズは英国の経済成長見通しを2016年は1.3%(前回は1.8%)、2017年は1.1%(前回は2.1%)とそれぞれ引き下げています。英国の財政状況は先進国の中でも悪いと見られています。

例えば、財政収支対GDP(国内総生産)比率を比べると英国の財政赤字は大きく(図表2参照)、経済成長の低下見通しは財政状況の更なる悪化も懸念されます。ただし英国がEU離脱後、EUへの拠出金が無くなれば財政にプラスの要因となる面もあります。それでも経済とトータルで考えるとマイナス要因と見るのはムーディーズだけでなく他社も同様です。

次に、スタンダード&プアーズ(S&P)はアクションは取っていませんが、4月に見通しを弱含みで据え置く旨を発表しています。その中でS&Pは英国の財政状況に加え離脱により経常赤字の拡大と英国ポンドの外貨準備高としての地位低下を懸念しています。特に、外貨準備高はS&Pが英国をAAAで据え置いている一つの要因とも指摘しています。国民投票後、S&Pがインタビュー等で英国のAAA維持に懸念を示唆しているのはこのような事情によると見られます。

フィッチ・レーティングス(フィッチ)は国民投票後に短い声明を公表、離脱による信用力の悪化を示唆しています。

格付け会社は離脱プロセスによる経済成長への影響を現段階では格付けに対し比較的穏やかなマイナス要因と見ている印象です。ただし今後の交渉が想定以上に難航、英国の貿易コストが上昇するようなケースでは、格付けへの懸念をさらに強める可能性もあり、交渉の行方に注視が必要です。

 

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