メキシコ中銀、英国EU離脱を問う国民投票後の金融政策 | ピクテ投信投資顧問株式会社

メキシコ中銀、英国EU離脱を問う国民投票後の金融政策 中南米

英国の国民投票後の景気動向に配慮した政策か、それともペソ安対応で利上げかが注目されたメキシコの金融政策会合でメキシコ中銀はペソ安対応を重視しましたが、今後の景気悪化がペソ上昇を抑える可能性も考えられます。

メキシコ中央銀行:ペソ安を懸念して市場予想を上回る0.5%の引き上げ

メキシコ中央銀行は2016年6月30日、政策金利である翌日物貸出金利を3.75%から0.5%引き上げて4.25%としました(図表1参照) 。英国の国民投票による欧州連合(EU)離脱賛成多数の影響などを受けて、メキシコ・ペソが下落したことへの対応を重視した動きとなっています。市場では大半が0.25%の引き上げ、もしくは据え置きを予想していました。一方で、一部は0.5%の利上げを見込んでいました。

どこに注目すべきか:ペソ安、原油価格、インフレ率、経常収支

英国の国民投票後の世界的な景気動向に配慮して政策金利は据え置かれるのか、それともペソ安への対応として引き締めを選択するかで、メキシコの金融政策に注目しました。結局メキシコ中銀はペソ安対応を重視しましたが、今後の景気悪化がペソ上昇を抑える可能性にも注意が必要です。

メキシコのGDP(国内総生産)成長率を見ると2%を超える水準で安定的に推移しています(図表2参照)。インフレ率も目標値(3%)を下回る2%台での推移で安定しており、経済的にはペソ安の理由は少ないと思われます。

しかし、メキシコペソのパフォーマンスを見ると、新興国通貨平均(JPモルガンEMCI)を下回っています。特に、国民投票前のリスク回避局面では、メキシコ中銀も指摘するように、新興国通貨としては流動性の高いペソが代替ヘッジ通貨として利用されたためペソ安が進行した可能性もあります。

その他のペソ安の要因には、原油価格の下落と国営石油会社の不振、また、米共和党の大統領候補トランプ氏の支持率が上昇するとペソが下落する傾向も見られます。

反対にメキシコ当局がペソ安を懸念する理由は、今後もリスク回避局面でペソが代替ヘッジ通貨(ペソ売り)として利用される可能性が高く、メキシコ当局も警戒感を強めています。

次に、メキシコの経常収支を見ると赤字の定着が見られます(図表2参照)。緩やかながら拡大傾向にある経常赤字のファイナンスをメキシコは証券投資フローで埋め合わせる構図となっています。このことはペソ安がメキシコにとって深刻な懸念材料となっている背景と見られます。ちなみに、メキシコ政府は6月末に2016年予算の支出計画を追加削減し財政安定化を表明するなどペソ安抑制に対し足並みをそろえています。

メキシコ中銀は2015年に金融政策会合の日程を米国に合わせるなど米国の金融政策を意識する傾向がありますが、米国の利上げ観測が後退している現局面でも、ペソ安が続いていることからメキシコ中銀は独自路線を模索し始めた格好です。

予想外の結果となった英国国民投票の後に景気と引き換えにペソ安抑制のために選択した利上げは勇気ある決断と思われます。ただしメキシコの景気回復も緩やかで、景気を冷やし過ぎるリスクにも注意を払う必要があると見ています。

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