中国人民元の動向を占う | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国人民元の動向を占う アジア 中国

外貨準備高の動向等を見ても、中国からの資本逃避懸念が残ると見られる中、中国当局は人民元安に伴う市場の混乱回避を優先し、人民元市場の安定化を目指す政策を採用する可能性もあると思われます。

中国7月の貿易統計:輸出入共に軟調な動き、輸入は市場予想より大幅にマイナスが拡大

中国税関総署が2016年8月8日に発表した7月の貿易統計(ドルベース)によると、輸出は前年同月比マイナス4.4%で、前月(同マイナス4.8%)からは改善したものの、市場予想(同マイナス3.5%)を下回りました(図表1参照)。

輸入は前年同月比マイナス12.5%となり、市場予想(同マイナス7.0%)、前月(同マイナス8.4%)を下回りました。

どこに注目すべきか:
貿易統計、サミット、預金準備率、流動性

中国7月の貿易統計は輸出入とも予想を下回りました。こうした中、中国当局の為替政策を占うと、輸出拡大に通貨安というよりは、人民元の安定化を模索していると見られます。

まず、貿易統計を振り返ると、輸出は予想を下回ったとはいえ小幅で、輸出の合計で2割程度を占める欧州連合(EU)と日本の経済が軟調であったことなどが背景と見られます。

輸入の下落幅は市場予想より大きくなりました。中国政府版の製造業購買担当者景気指数(PMI)が低下傾向であることから国内需要の減少が反映されていると見られます。ただ、輸入の減少には足元輸入との相関が見られる原油価格の下落も影響した可能性も考えられます(図表1参照)。

通貨を見ると人民元は対ドルで人民元安が進行しており、ラグ(遅れ)を伴い輸出の回復を下支えする期待もあります。このような中、中国当局は次の点で、人民元の安定を志向している様子がうかがえます。

まず、目先の話として9月4、5日に主要20ヵ国・地域(G20)浙江省杭州・サミットを控え、過去同様に為替安政策とみなされることへの回避に努めると見られます(図表2参照)。

2点目は、中国人民銀行(中央銀行、人民銀)などが人民元の安定性を優先させる意向を表明していることです。中国は2016年の成長目標を確保するためにも金融緩和姿勢を維持すると見られますが、人民銀が先日公表した金融報告で市中銀行の預金準備率引下げは人民元の下落につながると懸念を表明しています。では、金融緩和はあきらめるのか?

報道などによると、論説の中で金融緩和手段として中期貸出制度(MLF)や常設貸出制度(SLF)を活用して流動性の供給を行う政策を紹介しています。報道の目的は観測気球で、市場の反応をうかがっているだけなのかもしれませんが、背景には当局の通貨安定への志向が想定されます。

外貨準備高の動向等を見ても、中国からの資本逃避懸念が残ると見られる中、中国当局は人民元安に伴う市場の混乱回避を優先、市場の安定化を目指す可能性もあると思われます。

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