日銀の新たな枠組みへの期待と不安 | ピクテ投信投資顧問株式会社

日銀の新たな枠組みへの期待と不安 アジア 日本

日銀は物価目標の達成を、短期決戦型で取り組んできましたが、9月の金融政策決定会合で、持久戦となることをにらんだ枠組みに変更しました。新たな金融政策の枠組みに対する期待がある一方、今後の課題も見られます。

金融政策決定会合における主な意見:新たな枠組みが提案されるが、意見に相違も

日銀は2016年9月30日に、9月20、21日に開催した金融政策決定会合での政策委員の「主な意見」を公表しました。9月の金融政策会合で新たに導入を決めた長期金利の水準を操作する枠組みについては、経済情勢に応じて柔軟に対応でき、政策の持続性も高まると評価する声が上がる一方、現状程度の国債買い入れを続ける中で、期間10年までの金利をフォワードガイダンスのもと、マイナス圏で長期間固定することになれば金融仲介機能への影響が懸念されるなどの批判もあり、日銀内部で意見の相違が浮き彫りとなっています。

どこに注目すべきか:国債購入計画、マネタリーベース

日銀は物価目標の達成を、短期決戦型(2年程度で2%)で取り組んできましたが、9月の金融政策決定会合で、持久戦となることをにらんだ枠組みに変更しました。新たな金融政策の枠組みに対する期待がある一方、今後の課題も見られます。

まず、日銀の金融政策の枠組みを簡単に振り返ると、従来の「量」に軸足を置いた枠組みから、今後は長短金利に誘導目標を設定して利回り曲線(イールドカーブ)の形状をコントロールする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が主体になったと見られます。一方、年間80兆円程度というベースマネー増加の数値目標は補完的な立場に置かれたと見られます。ただし、この先も「量」を増やし続ける方針は維持され、消費者物価上昇率の実績値が目標の2%を安定的に超えるまで量的金融緩和を継続するオーバーシュート型コミットメントも提示されました。

次に、まだ始まったばかりですが、新たな枠組みでの政策運営を見て行きます。日銀は9月30日に「当面の長期国債買い入れの運営について」を公表しました。前月(9月)の購入計画に比べ、例えば5~10年セクターで200億円、購入計画金額を減額しています。日銀が示した当面のイールドカーブ・コントロールは短期金利をマイナス、長期金利をゼロ%近辺を目標としたものの、実際に利回りがマイナス0.1%程度であったため(図表1参照)減額したものと思われます。市場では国債購入減額が懸念されず、為替はむしろ円安が進行する格好となっています。唐突なマイナス金利導入により悪化した市場と日銀の対話の改善が感じられます。総括的な検証ではコミュニケーションについて明確な検証が行われたとは思われませんが、それでも改善の継続が何よりも重要と思われます。一方、「主な意見」には日銀内の意見の相違も見られます。例えば、マネタリーベースの拡大は予想物価の上昇率に寄与したとして、前向きに評価する意見と、マネタリーベースと物価上昇率の間には長期的な関係は観察できないという、全く反対の意見が併記されています。イールドカーブ・コントロールを主体とすることを選択した経緯、そして最終的な決断からは、マネタリーベースの拡大は分が悪いようにも思われます。もっとも、急激な変化は市場を不安定にさせるということを懸念しているのかもしれませんが。

最後に、潜在成長率を引き上げて、経済に中立な金利である自然利子率を上昇させるには政府の成長力強化の取り組みが必要でという声が日銀内部から聞かれました。例えば、欧州中央銀行(ECB)はドイツに財政政策を促すなど、外国の中央銀行でも金融政策だけに成長戦略を期待すべきではないという姿勢を示しているだけに、日銀の成長戦略に対する新たなメッセージにも注目しています。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


ページの先頭へ戻る