英国メイ首相はハードブレグジット姿勢を示したが | ピクテ投信投資顧問株式会社

英国メイ首相はハードブレグジット姿勢を示したが 欧州/ユーロ圏 英国

メイ政権が英EU離脱交渉に強硬姿勢で臨むとの懸念から英ポンドが下落しました。一方、メイ首相はポンド急落を受け、強硬なEU離脱姿勢の軟化を示すなど先行き不透明で、ポンドは当面変動性の高い状況が続くものと思われます。

英国EU離脱通告時期:メイ首相、党大会で2017年3月の離脱通告を表明

英国メイ首相は2016年10月2日、首相就任後初となる保守党の党大会で演説し2017年3月末までに欧州連合(EU)離脱を正式に通告すると表明しました。通告後に始まる交渉の期限は原則2年で、英国はこの間にEUとの貿易関係などの関係構築に向けて協議する運びです。なおメイ政権がEU単一市場へのアクセス維持に努めながらも移民規制を優先させる姿勢を示したことから、英国が関税なしで自由にEU域内で貿易できる単一市場へのアクセスを失う「ハードブレグジット」が懸念され、ポンドは下落しました(図表1参照)。

どこに注目すべきか:
ハードブレグジット、リスボン条約50条、輸出

メイ政権が英EU離脱交渉を強硬姿勢で臨むとの懸念から英ポンドが下落、31年ぶり(1985年来)の安値水準となりました。一方で、メイ首相はポンド急落を受け、強硬なEU離脱姿勢を軟化させる可能性も示しました。ポンドは当面変動性の高い状況が続くものと思われます。

市場では穏やかな離脱となる「ソフトブレグジット」への淡い期待も見られましたが、失望へと変わり、ポンドが急落しました。ポイントは次の2点です。

1点目は、EU単一市場へのアクセスよりも、移民規制を優先させる可能性を示唆したことです。「人、財、サービス、資本」の移動の自由はEUの基本原則で、英国が移民規制を優先させれば貿易の自由を失う恐れが考えられます。

2点目はメイ首相がスピーチでEU離脱の表明(リスボン条約第50条の発動)は政府の責任で、政府が単独で責任を負うと述べ、議会などの関与を否定し、強行にEUとの交渉を進める姿勢が示されました。

ただし、次の点に注意も必要です。

まず、本当にメイ首相に離脱時期を決定する権限があるかという問題で、ロンドンの裁判所は10月13日、17日に審理を予定、その後判断を示す予定です。議会では上下両院で残留支持派が多数を占めているため、離脱に反対して離脱時期の延長などが議会で審議される可能性もあります。なお、ポンド急落を受けメイ首相は日本時間10月12日に議会に譲歩、離脱に関する採決を容認しポンドは回復を見せました。

ポンド安には輸出競争力を高めるメリットも見られます。例えば8月の輸出額は前年同月比約11%上昇しています(図表2参照)。しかし、輸入はそれ以上に増えている点に注意が必要です。加えて、英国が関税同盟離脱となれば、最大の貿易相手であるEUへの輸出コストが高まることが懸念されます。英国政府が過去に試算したハードブレグジットの影響をみるとGDP(国内総生産)がEUにとどまった場合に比べ9.5%落ち込むことを示しています。市場の反応を見る限り、経済的にはハードブレグジットも乗り越える壁が高いと思われます。

最後の行く末は政治の問題であり、その意味で先行きは不透明で、英ポンドは変動性が高い状況が続くものと思われます。

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