中国、過剰債務問題の側面 | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国、過剰債務問題の側面 アジア 中国

中国の成長率は安定化とも見られる反面、投資拡大による債務の増加も懸念され、皮肉にも成長が過剰債務圧縮への期待(懸念)となっています。折しも10月10日に中国国務院は企業債務圧縮のガイドラインを発表しています。

中国7-9月期GDP:前年同期比で6.7%と市場予想と一致、引き続き安定を示す

中国国家統計局が2016年10月19日に発表した7-9月期のGDP(国内総生産)は前年同期比6.7%増と、市場予想(6.7%)、前期(6.7%)と一致しました。中国経済の成長率が引き続き6.7%となったことから、中国政府が設定した2016年の通期成長率目標(6.5~7%)の達成期待は高まっています。

どこに注目すべきか:国有企業、クレジット/GDPギャップ

中国の成長率は安定化とも見られる反面、投資拡大による債務の増加も懸念され、皮肉にも成長が過剰債務圧縮への期待(懸念)となっています。折しも10月10日に中国国務院の関係部門が企業債務圧縮のガイドラインを発表しています。

当レポートでは、中国の過剰債務の現状を紹介します。

まず、中国の債務を国際決済銀行(BIS)のデータで政府、家計、企業3部門別に見ると、圧倒的に企業部門に債務が多いことが分かります(図表1参照)。他の先進国と比べても、企業の割合が突出しています。この民間企業のほとんどは国有企業(国営企業の所有権を国に残して経営権は企業にシフト)と見られ、中国の債務問題は国有企業改革の意味合いが大きいと見られます。なお、国の債務問題を見る際に政府債務残高対GDP比率がしばしば目安として参照されますが、現在の中国では参考にならないと思われます。

では、中国の債務を見る上で有効と思われる指標を見渡すと、1つの例としてクレジット/GDPギャップ(GDPギャップ)があげられます。GDPギャップは民間部門向け信用の対GDP比率が、長期的トレンドから乖離する程度を示す指標で、BISなどがデータの整備を進めてきました。中国のGDPギャップは30%程度と他の国(先進国は5%近辺以下、ブラジルで15%程度)に比べて高くなっています(図表2参照)。

中国のGDPギャップが上昇したきっかけは金融危機後の経済不振を財政政策でてこ入れしてからです。しかし問題なのは、過剰債務が解消されるどころか増加を続けていると見られることです。そして、より懸念すべき問題として、債務の増加が中国の信用と効率性を引き下げている可能性があることです。BISや国際通貨基金(IMF)も最近のレポート等でこの問題を指摘、中国に対し債務削減の取り組みを強く求めています。

なお、債務水準としてGDPギャップが使用される理由は、GDPギャップがある一定の水準を超えると、経済の効率性が低下することが知られており、トレンドが考慮されない債務残高対GDP比率のような債務とGDPの比率だけの水準に比べ、経済の効率性との関係が明確なためと思われます。

社会的な安定を重視して債務問題を先延ばししてきた中国ですが、当局がようやく企業債務圧縮のガイドラインを発表した背景に意識の変化が感じられます。本格的に債務削減に取り組むか、それとも尻すぼみとなるのか注視が必要です。

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