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メイ首相、議会承認を求められるが 欧州/ユーロ圏 英国

欧州連合(EU) 離脱の手続きに議会の承認が必要かで争われた裁判でメイ首相が敗訴、議会の動きによってはEU離脱の頓挫という懸念も想定はされますが、最高裁の判決後もポンドは落ち着いた動きとなっています。

EU離脱の最高裁判断:議会の承認必要とメイ英首相に新たなハードル

英国最高裁判所は2017年1月24日、2年間の欧州連合(EU)離脱の手続き期間の開始となるリスボン条約50条の発動に関して、議会の承認を得る必要があるとの判断を下しました。古くから行政府の権限として継承されてきた「国王大権」を用いて首相がリスボン条約50条を発動することが可能というメイ首相の主張が退けられたことで、議員が政府の強硬姿勢を和らげる可能性も浮上してきました。

なお、リスボン条約50条の発動に関して、スコットランドと北アイルランド議会の採決が必要ないことも決定しました。

どこに注目すべきか:
最高裁判決、地域議会、議会勢力

裁判上はメイ首相が敗訴、議会の動きによってはEU離脱の頓挫という懸念も想定はされますが、最高裁の判決後もポンドは落ち着いた動きとなっています(図表1参照)。その背景は以下の要因によると見ています。

まず、メイ首相公表したEU離脱の方針で議会の承認は既に想定されている範囲でのイベントと見られることです。なお、今回の判決で、連合王国を形成するスコットランドや北アイルランドなど地域議会の承認は条約の発動に必要ないとの判断を示したことも変動を抑える要因と見られます。特にスコットランドは残留支持が多数派で、仮に地域議会まで承認が必要となるとEU離脱の道筋そのものが不透明となる可能性があったからです。ただし、地域議会を無視した格好となることが良いか悪いかという問題の火種は残ります。

次に、議会の動向を占うと、離脱そのものに反対する声は小さく、むしろ離脱の条件で(域内で人やモノ、サービスの自由な移動や取引を認める)単一アクセスの確保などを離脱法案で求める動きが想定されます。英国の議会勢力を見ると(図表2参照)国民投票時には残留支持であった野党労働党は、国民投票の結果を尊重し離脱そのものに反対するのではなく、単一アクセスなど離脱の条件で争う方針と見られます。与党の保守党にせよ、労働党にせよ、党の方針に反して議会で個人的に離脱反対に回る勢力と、他の政党が組む可能性もありますが、それでも議会で離脱反対が多数となる見込みは低いと思われます。メイ首相の方針と、議会との条件交渉であれば今のポンドの水準は心地よいのかもしれません。

最後に、EU離脱表明後の英国経済が予想外に堅調なことです。景気が強いとはいえないものの、少なくともEU離脱を選択した直後に想定された悲観的な景気後退シナリオは見られない状況です。今後の交渉の行方など不透明要因はありますが景気動向は市場の下支え要因と見られます。

議会が離脱に反対し続ける可能性もありますが、単一アクセス確保など条件闘争が今後の注目点と思われます。

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