英国下院解散でポンド高となった理由に考えを巡らす | ピクテ投信投資顧問株式会社

英国下院解散でポンド高となった理由に考えを巡らす 欧州/ユーロ圏 英国

政権発足後、メイ首相は2020年の総選挙まで解散はしないと表明していましたが、前言を撤回しました。議会を解散して与党勢力を拡大させ、英国の欧州連合(EU)離脱プロセスの進展を有利に進めたい戦略と思われます。

英国解散総選挙:メイ英首相、解散総選挙で議会の支持、6月8日総選挙実施へ

英国メイ首相は2017年4月18日に、総選挙を6月8日に実施する旨を公表しました。これを受け、英国下院は4月19日に早期(解散)総選挙実施の可否を問う動議を、522対13で可決しました。任期満了(2020年5月、図表1参照)より3年前倒しで総選挙が行われることとなりました。発表を受け、ポンドは上昇しています。

仏大統領選挙を受け、市場では欧州の政治リスクが低下したとしてユーロが上昇しました(図表2参照)。

どこに注目すべきか:英国、解散総選挙、ポンド高、ブレグジット

政権発足後、メイ首相は2020年の総選挙まで解散はしないと表明していましたが、あっさり前言を撤回、議会を解散して与党勢力拡大、英国の欧州連合(EU)離脱プロセスを有利に進める賭けに出ました。市場の反応として、通貨ポンドは上昇しました。背景として次の点に注目しています。

まず、英国議会(下院、上院に公選制は導入されていない)の勢力分布を見ると、与党保守党は過半数をわずかに上回るに過ぎません(図表2参照)。今後EU離脱プロセスで離脱の精算金やEUとの関係を定めた法律の廃止など下院に決議を求めなくてはならないケースが多々想定されることを踏まえれば、保守党の議席数は不十分です。一方、世論調査では、メイ首相への信頼感などから与党への支持が、野党労働党の倍近い数字で、勢力回復の好機と見られます。

次に、EU離脱の方向性を振り返ると、単一市場へのアクセスを犠牲に移民制限を重視する「ハードブレグジット」と、反対に単一市場へのアクセス確保を目指す「ソフトブレグジット」があります。一般的に、ハードブレグジットを志向すればポンド安という理解になっています。メイ首相は現在、ハードブレグジット路線と見られます。そのメイ首相が議会の解散に打って出たのだから、ハード路線、つまりポンド安が自然なようにも思われますが、ポンドは底堅さを見せています。

理由として、メイ首相が下院選挙で苦戦してソフト路線に転換する可能性が出たとの見方もあります。

しかしより有力な見方として、何も決まらないまま交渉期限の2019年3月を迎える「時間切れブレグジット」の回避が考えられます。5月のフランス大統領選挙(決選投票)、9月のドイツ総選挙などを控え(図表1参照)、英国がEUと自由貿易協定(FTA)を期限切れ(19年3月)までに締結するのは至難のわざと見られます。仮に暫定合意を目指すにしても、英国議会が現在の状況では、恐らくポンドに限らず、英国(並びにEUにとっても)最悪のシナリオと見られる「時間切れブレグジット」の危険があります。例えば、2017年年初からの議会運営を見てもメイ首相は議会対応に苦慮しており、この状況が続くよりも、強力な与党で時間切れリスクの回避が見込めるならば、解散総選挙は、いつまで続くかという持続性の問題はありますが、ポンドにとって悪い話ではなかったとも見られます。

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