見えてきた、インドのGST導入の姿 | ピクテ投信投資顧問株式会社

見えてきた、インドのGST導入の姿 アジア インド 新興国

インドで長年の課題であった物品・サービス税(GSTの税率が合意され、実施の見込みが一段と高まりました。GST導入は、インドの複雑な税制を簡素化するとの期待がある一方、インフレ率上昇懸念も指摘されています。

インド株式市場:続伸、GST税率合意を受け、消費関連セクターがけん引

2017年5月22日インド株式相場は上昇しました。インド株式市場の代表的指数であるS&P・BSEセンセックスは前週末比0.4%高の30570.97で引け、17日に付けた過去最高値に近づく水準となりました。全国一律の間接税である物品・サービス税(GST)の税率がようやく合意されたことを受け(図表1参照)、消費関連銘柄を中心に上昇しました。

どこに注目すべきか:GST、納税ランキング、インフレ率

インドで長年の課題であった物品・サービス税(GST)の税率が5段階で合意されたことで、7月1日実施の見込みが一段と高まりました。GST導入は、インドの非効率性の象徴でもあった現在の複雑な税制を簡素化するとの期待がある一方、インフレ率上昇懸念も指摘されています。

①そもそもGSTとは?
GSTを大雑把に言えば、間接税(付加価値税)で、イメージ的には日本の消費税です(ただ日本の帳簿方式とは異なる)。

②GST導入の背景
インドでは中央政府と州政府が個別に複数の間接税を課すという極めて複雑で非効率な制度となっています。特に、州によって税制が違うため、州を越えて取引をする場合、商品配送のトラックが州を超えるたびに税調整の手続きのために長蛇の列を作るという非効率さを生み出す原因となっています。世界銀行の調査による納税のしやすさ国別ランキングでインドは190ヵ国中172位と低い評価となっています。また、複雑な税制は脱税の温床との指摘もあります。

③GST導入の経緯
インドの複雑な税体系を、簡素で透明性の高いものにする必要性から、中央政府、州政府の間接税一本化が模索されてきました。インド議会で付加価値税導入が議題にあがったのは2006年ですが、議論がまとまりませんでした。2014年に発足したモディ政権は主要な改革としてGSTを推進、2016年8月に議会でGST導入に向けた憲法改正案が通過、そして今回税率も合意されたことで、実施が確実視されています。

④GSTの課題
GSTは当初、日本の消費税のように税率一本化を模索しましたが、結局5段階の税率となっています(図表1参照)。上限税率28%が適用されるのは課税対象品目の19%で、残り81%の適用税率は18%以下の税率となるため、現在の物品税(主に20%台後半)より低く、サービス税(約15%)と同等または以下となる見込みです。

⑤GST導入の経済的インパクト
プラス面として、現在の複雑な税制により非効率となっていた物流の改善が見込まれ、経済成長率の底上げが期待されています。市場予想では、中期的に1~2%程度GDP(国内総生産)成長率の上昇を期待する声も聞かれます。また、税制が簡素化することなどを受け、税収の拡大も見込まれています。

一方、マイナス面としては新税制導入に伴う混乱が想定されることです。次に、インドのインフレ率上昇も懸念されます。過去、GSTを導入した他の国では、導入後インフレ率の上昇が見られた場合もあるからです。ただ、インドのGST導入では、穀物など生活必需品は非課税とすることが合意されています。また、一部消費財には5%の定率が適用されるため、反対に価格が下がるケースも想定され、インド財務省はGST導入によるインフレ率上昇は緩和されると期待を表明しています。

新興国は、一般に豊富な労働人口や資源という成長要因に経済成長の源泉を負っていますが、今回のインドに加え、アルゼンチンやインドネシアなど効率を高め、生産性を改善した国の評価が高まっているように思われます。

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