中国格下げの背景から考える | ピクテ投信投資顧問株式会社

中国格下げの背景から考える アジア 中国

ムーディーズによる中国の格下げは(格付けを取りやめた時期を除けば)1989年以来で、その点だけ捉えると、何か大きな出来事のようにも聞こえますが、今の所市場の反応は落ち着いています。

中国格付け:ムーディーズ中国を「A1」に1段階格下げ、債務見通し悪化で

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は2017年5月24日、中国の長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をAa3 (AA-に相当)からA1 (A+に相当)へ格下げしました。見通しは安定的(ステーブル)としています。なお、スタンダード&プアーズは中国の長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)の格付けをAA-としています。また、フィッチ・レーティングスは中国の長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をA+としています。

どこに注目すべきか:潜在成長率、地方融資平台、格付け見通し

ムーディーズによる中国の格下げは(格付けを取りやめた時期を除けば)1989年以来で、その点だけ捉えると、何か大きな出来事のようにも聞こえますが、今の所、市場の反応は落ち着いています(図表1参照)。

まず、格下げの理由は主に次の3点です。

1点目は成長率の低下です。ムーディーズは中国の潜在経済成長率が資本蓄積ペースの低下、労働力人口の減少、生産性鈍化で今後5年間で5%台に低下すると見込んでいます。 2点目は中国政府部門の債務懸念です。例えば、債務残高対GDP(国内総生産)比率は2018年に40%、2020年末に45%へ悪化すると見込んでいます。また地方政府が出資している投資会社「地方融資平台」の債務は2015年にGDP比で5.5%、 2016年には6.2%程度に増加するとムーディーズは推定しており、間接的に債務となりえる偶発債務の増加もムーディーズは懸念しています。

3点目は国全体(政府、企業部門など)の債務比率が上昇(16年末は対GDP比で256%)していることへの懸念です。

ムーディーズは中国の全体の債務比率は中国の資本市場の発展状況を勘案すると高水準で、金融システムリスク回避には公的資金が必要など、脆弱性を示唆しています。

ただし、通常は信用力に敏感なドル建て債券の利回りや、本来なら人民元安となるはずの為替市場も落ち着いています。理由としては、日本と同じA1自体、低い格付けでなく、また見通しは従来の弱含みから安定的に引き上げられており、格下げが続くという展開は見込みにくいからです。加えて、見通しについてムーディーズは、中国の豊富な外貨準備高(世界の3割弱、図表2参照)、民間の高い貯蓄率をあげており、中国のセーフティネットに対しある程度の評価をしています。

中国は巨大な現地通貨建債券に比べ外貨建て債券の規模は小さいこと、すでに年内は安定性重視の経済運営に切り変えていることなどを考え合わせれば、中期的にはともかく今回の格下げの中国経済への影響は限定的と思われます。

  

 

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

ページの先頭へ戻る