効いた、人民元基準値の算出方法の修正 | ピクテ投信投資顧問株式会社

効いた、人民元基準値の算出方法の修正 アジア 中国

人民元基準値の新たな算出方法の詳細は不明確ですが、より明確なのは中国当局が、当面は人民元高への誘導を目論んでいると見られることです。ただし、極端な人民元高への誘導は考えにくいと思われます。

中国人民元基準値算出方法修正:基準値算出方法の修正後、人民元高へ

2017年5月26日の報道で、中国人民銀行(中央銀行、人民銀)が人民元の基準値算出方法を修正すると伝えられました。報道によると、新たな計算方法では、これまで参照していた前日夕刻時点の市場実勢にあまり左右されずに基準値を設定できる模様です。新ルール報道後、1週間ほど経過した6月1日に、人民銀が設定した基準値は対米ドルで1ドル=6.8090元でした(図表1参照)。前日の基準値(6.8633元)に比べ0.0543元の大幅な元高・ドル安で、基準値として昨年11月10日以来の元高水準です。

どこに注目すべきか:人民元基準値、反循環的調整要因、安定

人民元基準値の新たな算出方法の詳細は不明確です。しかし、より明確なのは中国当局が、様々な背景を考慮して、当面は人民元高への誘導を目論んでいると見られることです。

ただ、極端な人民元高への誘導は考えにくいと思われます。

今回の算出方法の修正を考える上で、中国の為替制度について次の2点に注目しています。

まず、人民元は特有の管理変動相場制である点です。人民元の取引の目安となる基準値は、要約すれば、前日の終値(北京時間16時30分)と通貨バスケット調整をもとにマーケットメーカー(人民元レートを値決めする金融機関)が見積もりを提出、人民銀が提出された見積もりをベースに基準値を算出して、(終値の翌日に)公表します。人民元は基準値の上下2%の変動しか認められていません。

新たな基準値の算出方法では、詳細は不明ながら「反循環的調整要因」が算出プロセスに加えられると報道されています。中国当局が、人民元の水準を経済環境から判断して適性水準と乖離していると判断した場合に調整を加えるというもので、当局の裁量度合いが強まることが想定されます。

2点目として、人民元の管理方法の流れを振り返ります。人民元は2005年7月以前は対ドル固定(ドルペッグ制)を採用していましたが、その後は基準値の変動許容幅を当初の上下0.3%から、足元の上下2%へ拡大させ、緩やかながら人民元取引の自由度を高める方向で制度を調整してきました。2015年8月には基準値の算出に市場動向(終値)を反映させたり、2015年12月には幅広い通貨の動向を反映させるため、バスケット制を導入しています。長い目で振り返ると、人民元は変動相場制に向け自由度を高める修正が施されてきています。

しかし、今回の基準値算出方法の修正は当局の人民元に対する意図を反映しやすい修正と見られ、人民元高方向への誘導が効果を発揮している状況と見られます。

では、何故、人民元高が必要か?仮に何の制約も無ければ為替市場では、先日の中国の格下げ、中国景気回復のペースダウン、利上げなど米国の金融政策などを背景に人民元安要因が多く見られます。一方で、今秋の共産党大会を前に安定志向を強める中、夏には米中経済対話が開催の予定もあり、米中の貿易摩擦を回避する必要に迫られています。そのため、新たな基準値算出方法を導入すれば、人民元高への志向を示すことで、人民元安をけん制した可能性があります。

ただ、銀行間レートが上昇傾向であるように、人民元高の演出には金融引締めも伴いますが、中国景気には重荷と思われます。当局は人民元安は抑制を試みるも、極端な人民元高は望まず、あくまで安定を模索するものと見ています。

  

 

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