メイ首相の苦しさが露呈した施政方針 | ピクテ投信投資顧問株式会社

メイ首相の苦しさが露呈した施政方針 欧州/ユーロ圏 英国

先の英国下院選挙で与党保守党は敗退しました。選挙後の連立工作では、地域政党との閣外協力もいまだに合意を公表ができないなどメイ首相の立場は苦しいなか、英国の金融政策も不透明感が高まっています。

英国政権施政方針演説:メイ首相の苦しい立場を反映する内容

英国議会は2017年6月21日に開会し、エリザベス女王がメイ首相の施政方針を読み上げ、2年の下院会期中に審議する法案の概要を代読しました。演説では欧州連合(EU)離脱の実現を最優先するとしつつ、厳しい移民制限やEU単一市場からの撤退など従来の強硬路線(ハードブレグジット)への言及は回避する内容でした。

どこに注目すべきか:施政方針、連立工作、交渉期間、金融政策

先の英国下院選挙ではメイ首相の思惑と異なり議席を減らすなど、与党保守党は敗退しました。選挙後の連立工作では、地域政党との閣外協力もいまだに合意を公表できないなどメイ首相の立場は苦しくなっています。そのため、英国の金融政策も不透明感が高まっています。

メイ首相はいくつかの問題に直面しています。

まず、過半数を確保して新政権の骨格作りに苦労しています。例えば、昨日の施政方針で示された法案は、2年分で27件にとどまりました(通常は1年につき20件程度)。内容を見ると、EU離脱に向け現行のEU法を英国法に置き換える「大廃止法案」と、これを補完する、移民、通商、漁業、農業など各分野の法案が全体の3分の1程度と、EU離脱の方針は大枠で維持された格好です。しかし、EU単一市場や関税同盟からの撤退や移民の制限は明言を回避、ハードブレグジット路線は抑えています。メイ首相はアイルランドと国境政策に反対する北アイルランドの民主統一党(DUP、10議員)の協力を仰ぐ必要があり、選挙後から交渉を続けるも、正式な合意発表に至っていません。明確な方針は打ち出したくても打ち出せない状況です。

時間との戦いも厳しいものがあります。英国はEU離脱通知をして2年間の交渉期間に入りましたが、選挙に時間(3ヵ月)を費やしています(図表1参照)。その上、交渉手順もEU予算分担や英国に住むEU市民の権利などの交渉を終えてから本題の自由貿易交渉と、タイトなスケジュールです。

市場への影響を見ると、苦しい状況を反映してポンド安傾向です。ポンド安だけが原因でないにせよ、英国のインフレ率は前年比3%近くまで上昇しています。賃金上昇率は鈍く家計への影響も懸念されます。一方で、GDP(国内総生産)成長率は2%程度で横ばいと伸び悩んでいます(図表2参照)。イングランド銀行内部でも、カーニー総裁らはEU離脱の不透明感による景気への影響を懸念して緩和姿勢を支持しています。一方、一部のメンバーは足元のインフレ率に着目して金融引締めを主張しています。当面、英国市場の不安定な動きも懸念されます。下院選挙の結果が及ぼす影響に注意が必要です。

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