メイ首相、演説で少し明らかになったこと | ピクテ投信投資顧問株式会社

メイ首相、演説で少し明らかになったこと 英国 欧州/ユーロ圏

メイ首相のEU離脱方針演説直後、為替市場の市場コメントを見ると、演説には具体性がないとされ、一時的にポンド安が進行しました。演説は具体性にかけていたものの、一部ポンドの下支え要因も含まれていたと思われます。

メイ英首相:EUに支払い約束、離脱交渉の膠着打開目指す

英国のメイ首相は2017年9月22日、イタリアのフィレンツェで欧州連合(EU)からの離脱方針について演説しました。メイ首相がEU離脱に関して演説するのは、今年1月にEU単一市場から最終的に退く(ハード路線)ことを宣言して以来となります。メイ首相は演説で、2019年3月のEU離脱後の激変緩和措置として2年の「移行期間」を設けることや、離脱に際して費用を支払う考えも表明、EUに譲歩の姿勢を示しました。

どこに注目すべきか:EU離脱、移行期間、EU離脱の清算金、FTA

メイ首相のEU離脱方針演説直後、為替市場の市場コメントを見ると、演説には具体性がないとされ、一時的にポンド安が進行しました(図表1参照)。演説は具体性にかけていたものの、一部ポンドの下支え要因も含まれていたと思われます。

まず、英国のEU離脱に関連して、最近の動きを振り返ります。メイ首相が今年1月にハード路線を宣言、3月29日にEUに離脱を通告した後、ハード路線の可否を問い総選挙を6月に実施、メイ首相率いる与党は議席を減らしました。選挙後にEUと離脱交渉が開始されましたが、英国の準備不足もあり、交渉の成果は乏しいものでした。ただし、英国では9月にEU離脱に際し、EU法を英国国内法に置き換える「廃止法案」が議会下院を通過するなど、国内手続きはEU離脱に向け粛々と手続きを進める面も見られました。

このような流れの中で行われたメイ首相の演説では、EU離脱に続く2年前後の移行期が提案されました(図表2参照)。

今年3月にEU離脱通告をして2019年までの2年間の交渉期間があるとはいえ、成果が乏しいままに既に半年が経過、交渉の時間切れも懸念されていただけに、現実的な提案と思われます。事前に移行期間の必要性は報道されており、新しい話というわけではないにしろ、公式な場で述べられたこと、EU側も前向きに見ている点はプラス要因と思われます。

英国がEU離脱に向けEUに何か支払う用意があることを示唆したことは、具体性に乏しくも悪い話ではないと思われます。

例えば、メイ首相は移行期間中の予算拠出に応じると述べています。移行期間のコストはEU予算拠出だけで約200億ユーロに上ると見られます。ただ、報道では、EUは離脱において請求する総額(清算金)は600億とも1000億ユーロとも伝えられ、EUは(交渉術なのか)まだ最終的な額を示していません。溝を埋め合わせる作業は残されています。

英国に住むEU市民の権利保護や英国とEUの自由貿易協定(FTA)は進展が見られません。ただ、メイ首相はFTAはカナダ型など既存の協定より、独自のスタイルを模索している模様です。英国は今年11月にもFTA交渉を開始、交渉が暗礁にのりあげたような先行き不透明感を取り除きたい意向と見られます。であるならば、英国中央銀行も利上げ環境が整う可能性もあります。ハード路線の維持など交渉の先行きに不安要因は山積みながら、ポンドにとり悪い話ばかりでもなさそうです。

 

 

 

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