最近耳にする、物価水準目標とは? | ピクテ投信投資顧問株式会社

最近耳にする、物価水準目標とは? グローバル

現在、主要な中央銀行が採用しているインフレ目標(政策)と物価水準目標は、例えば2%という物価上昇率を目指す点は同じで、違いはインフレ目標が「過去を振り返らない」のに対し、物価水準目標では考慮する点が異なります。

物価水準目標:最近耳にする、物価水準目標、当局者の意見は分かれる

世界の主な中央銀行では消費者物価指数(CPI)などの指数の前年比、2%などを政策目標とする「インフレ目標」が採用されています。一方で、最近報道などで政策目標の見直しの一案として、「物価水準目標」が紹介されています。例えば、日本経済新聞2017年11月25日付けで物価水準目標が報道されています。米連邦準備制度理事会(FRB)内では、当局者の間でも意見は分かれ、物価水準目標の導入に積極と慎重の双方が、それぞれの考えを述べ始めています。

どこに注目すべきか:インフレ目標、物価水準目標、ゼロ金利制約

現在、主要な中央銀行が採用しているインフレ目標(政策)と物価水準目標は、例えば2%という物価上昇率を目指す点は同じで、違いはインフレ目標が「過去を振り返らない」のに対し、物価水準目標では考慮する点が異なります。

2つの政策の違いのイメージを説明するために、インフレ率算出の元になる消費者物価指数が基準年から年率2%で上昇する線を設定しましょう。図表1、2で右肩上がりの直線(点線)で示されている線です。インフレ目標であれ、物価水準目標であれ、実際のインフレ率が目標インフレ率(ここでは2%)で推移してくれれば、両政策の違いはありません。

しかし、実際のインフレ率が目標を下回ると違いが明確となります。まず、現在採用されているインフレ目標では1年目のインフレ率が1%と目標を下回っても、2年目再び前年比2%のインフレ率を目標に政策対応することになります。前年比2%の目標を維持するため、基準年で設定した点線から下方にシフトした線(赤実線)を目指すイメージです(図表1参照)。

一方、物価水準目標では、1年目のインフレ率が目標を下回る1%であった場合、2年目の目標は基準年に設定した2%の消費者物価指数に戻るため、約3%のインフレ率となる政策対応がとられるというイメージです(図表2参照)。過去を振り返る必要がある政策ともいえます。

自然利子率低下に伴うゼロ金利制約(ZLB)のもと、インフレ目標の効果に疑問がある中、物価水準目標は期待インフレ率を上昇させるのに有効と考える論者もいます。例えばサンフランシスコ連銀は経済の潜在成長率が不確定な状況では物価水準目標は有効とする論文を公表するなど採用に積極的です。

一方、物価水準目標は1930年代にスウェーデンの採用実績が見られますが例外的で、実務の蓄積は無いに等しいこと、現在の金融政策の枠組みに変更が必要で多大なコストが懸念されること、市場との対話が難しいこと等が懸念されています。また、市場のインフレ期待を急上昇させる政策との懸念もあり、FRBの物価の安定という使命から法的なリスクもあり、ブレイナード理事らは導入に慎重です。面白いのはバーナンキ元議長で、ゼロ金利制約のもとでは物価上昇目標、平時はインフレ目標に戻すハイブリッド型を提案しています。物価を巡る政策について、今後の活発な議論に注目しています。

 

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