ドイツ、ようやく連立交渉に終わりが見えるが | ピクテ投信投資顧問株式会社

ドイツ、ようやく連立交渉に終わりが見えるが 欧州/ユーロ圏 ドイツ

懸案となっていたドイツの大連立政権に向けた交渉がようやく合意しました。市場では、ドイツ国債利回りが上昇するなど、地政学リスクの後退が見られました。大連立政権誕生がメインシナリオですが、注意が必要な点もあります。

ドイツ大連立交渉:メルケル独首相がこう着打開、SPDと連立合意へ

メルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)は2018年2月7日、大連立政権継続に向けた連立協定で合意しました(図表1参照)。ドイツでは異例の、長期にわたる政治的行き詰まりに終止符が打たれる可能性が高まりました。報道によると、合意によりSPDは財務相と外相など重職を含む6つの閣僚ポストを確保、一方、メルケル首相のCDUは国防相など5閣僚を出し、姉妹政党のCSUからは3人が閣僚ポストを確保した模様です。今回の連立は約15人の党指導部によって閣僚ポストを巡り(暫定的に)合意されましたが、次は3月はじめにも結果が判明する予定のSPD党員投票が注目されます。

どこにどこに注目すべきか:大連立政権、党員投票、財政規律、合意内容

懸案となっていたドイツの大連立政権に向けた交渉がようやく合意しました。市場では、ドイツ国債利回りが上昇(価格は下落)するなど、地政学リスクの後退が見られました。確かに大連立政権誕生がメインシナリオですが、次の点には注意が必要です。

まず、大連立政権が最終的に誕生しないリスクもないわけではありません。今回の合意は、交渉する両党の幹部が閣僚ポストの配分を巡り合意に達しただけで、最終的にはSPD党員による投票の結果を待つ必要があります。支持率低迷のSPDにとって、6閣僚のポスト確保は好条件と考えられ、党員投票でも連立が支持されると見るのが自然です。ただ連立でSPDの政策が埋没することを懸念する党員も多く、報道などで世論調査を見ると、投票は僅差となる可能性もあります。

なお、SPD党首のシュルツ氏は党首辞任の考えを示しています。党内で慎重論が強い大連立を主導したうえ、自ら入閣に対する批判をかわす狙いと見られます。後任に連邦議会(下院)会派代表で、1月の党大会の演説で、連立協議入りの了承を勝ち取った立役者とされるナーレス氏を指名しました。

自らが党首に残らないことにも、党員投票が苦しい戦いであることを感じさせます。

次に、党員投票が反対多数、再選挙という最悪のシナリオが回避されても、大連立政権に気になる点も残ります。

例えば、ドイツの財政規律が緩む可能性です。メルケル政権(第2、3次)で過去8年、ドイツの財務相は、良くも悪くも財政規律を重視するショイブレ氏でした。連立交渉の結果、SPDは重要なポストである財務、並びに外相を確保したとすれば、大連立交渉を有利に進めていたと見られます。緊縮財政より支出を増やす傾向があるSPDが大連立政権で主導すれば、ドイツの財政政策に変化も想定されます。

また、具体的な政策では、今回の交渉でも懸案となっていた労働市場と医療保険が合意されること無く、恐らく株式市場の変動を受け政治空白回避を最優先に、合意を急がせた点も気がかりです。労働市場改革についてSPDは理由が不明確な解雇に対する保護を求めていました。また医療保険では公的と民間の不公平是正を求めていました。しかし今回の合意では労働、医療共に努力目標的な表現にとどまっています。

確かに、第3次メルケル政権でSPDは大連立を組みましたが、今回の交渉でも主張の違いを埋め切れていないようで、大連立成立後も不安の火種を抱える可能性が考えられます。

 

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