日銀、人事の季節 | ピクテ投信投資顧問株式会社

日銀、人事の季節 日本

日銀の総裁1名と、副総裁2名は3月、4月に相次いで任期を迎えます。この日銀人事と今後の金融政策の方向性を占う上で注目すべきポイントを整理して述べます。

日銀総裁人事:報道では、黒田氏再任の方針が伝えられる

複数の報道機関が2018年2月9日から10日頃、2ヵ月後の4月8日に任期満了となる日本銀行の黒田東彦総裁を政府が再任する方針であることを固めたと報じました。

任命には国会の同意が必要ですが、衆参両院とも与党が過半数を確保している状況です。日銀総裁の任期は5年で、市場では次期日銀総裁候補として黒田総裁を予想する声が大きくなっています。

仮に黒田総裁が2期連続で務めるとなると、山際正道氏(在任1956~64年)以来で、戦後3人目となります。なお、中曽宏、岩田規久男両副総裁の任期は3月19日までとなっています。

どこに注目すべきか:日銀総裁、副総裁、リフレ派、円高

日銀の総裁1名と、副総裁2名は、3月、4月に相次いで任期を迎えます。この日銀人事と金融政策の方向性を占う上で、次の点に注目が必要と見ています。

まず、人事のバランスです。現在の日銀執行部(総裁+2名の副総裁)は、黒田総裁と、日銀出身の中曽副総裁、外部からリフレ政策を支持する岩田副総裁となっています。ここで、次の執行部の想定を考えます。13日の衆院予算会議で安倍首相が日銀総裁人事は白紙と答弁したように、まだ正式決定ではないものの、報道の通り、黒田総裁再任はやはり有力と思われます。副総裁の一人は日銀出身の雨宮理事が有力との報道もありますが、こちらは中曽副総裁の入れ替わりと見られます。健康上の理由もあり再任の可能性が低いと見られるリフレ派の岩田副総裁に代わり、再び外部からリフレ派を招聘するなら、今回の人事は基本形の上で、現状維持の可能性が高いように思われます。なお、市場の一部で噂されていた、黒田総裁からリフレ派の人に変更されるという懸念は杞憂となりそうです。

次に、金融政策の方向性は当面は現状維持、徐々に正常化に向かう流れが想定されますが難問山積みと思われます。

まず、現在の金融政策を整理すると、イールドカーブ・コントロールで知られる、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」が政策手段です。また、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」をインフレ率が2%を超えるまで続けることも掲げています。2013年、日銀は長期国債などの購入でマネタリーベースを拡大させインフレ率上昇を目指すリフレ政策を主体としていました。政策主体が量から金利へと変更されています。これは、欧米ではすでに(ユーロ圏は遅れ気味ですが)既定路線で、日銀も、時間軸は相当ずれるものの、欧米と同じ方向を模索するものと思われます。

日本の金融政策正常化は難問です。日本では金融緩和が少しでも後退したとみなされると円高の洗礼を受ける傾向があり、慎重に進める必要があるからです。マネタリーベース拡大で購入している指数連動型上場投資信託受益権(ETF)は日銀が株式を購入しているとして批判を受けてはいますが、当面現状を維持する可能性があると思われます。

購入額を静かに減らしている国債購入も難問です。市場ではすでにテーパリング(段階的購入額の縮小)が始まったとみなしている面も見られます。すでに利上げをしている米国に対し、表向き金融緩和の日本ですが、円高傾向なのは、恐らく、国債購入額の減少を実質的テーパリングとして、将来の金融政策正常化を織り込んでいるためと思われます。このような市場の期待への対応も求められます。

最後に、政治との関係もデリケートです。2013年のインフレ目標導入には政府と日銀の共同宣言など政治とのからみが含まれています。仮にインフレ率が2%に定着していれば、目標達成ということで、格好はつくのでしょうが、物価動向がそこまで改善しない中での政策変更については、政治的な配慮も日銀に求められる可能性があります。

株式市場などの変動が気になる市場環境の中、このような難問を抱えた中での大役は経験豊富な黒田総裁の再任が無難なように思われます。

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