アルゼンチン、あわてて利上げ | ピクテ投信投資顧問株式会社

アルゼンチン、あわてて利上げ 中南米

アルゼンチンは通貨防衛に迫られています。アルゼンチンの財政改革の道のりが遠いこと、インフレ率が依然高水準などの国内要因に加え、米国金利上昇懸念による国外要因が主な資本逃避の背景と見られます。為替変動要因のうち、アルゼンチン国内の要因を中心に振り返ると、一部に安心材料も見られますが、事態の推移に注視は必要です。

アルゼンチン中銀:通貨防衛の強化に向け、1週間で3度目の利上げ

 アルゼンチンの中央銀行は2018年5月4日、政策金利(7日レポ参照レート)を6.75%引き上げ40%とする緊急利上げを発表しました(図表1参照)。アルゼンチン中銀は既に4月27日に政策金利を27.25%から3%引き上げ(1回目)、5月3日にさらに3%の利上げ(2回目)を実施、今回6.75%の利上げで1週間程の間に3回、合計12.75%政策金利を引き上げました。アルゼンチン中銀は声明で必要なら再び行動を取る準備があると追加利上げの可能性も示唆しています。

 外国為替市場で通貨ペソの下落が止まらないためで(図表1参照)、15年に経済再建を掲げて当選した中道右派マクリ大統領は試練に直面しています。

どこに注目すべきか:マクリ政権、中道右派、公共料金、インフレ率

 アルゼンチンは通貨防衛に迫られています。アルゼンチンの財政改革の道のりが遠いこと、インフレ率が依然高水準などの国内要因に加え、米国金利上昇懸念による国外要因が主な資本逃避の背景と見られます。為替変動要因のうち、アルゼンチン国内の要因を中心に振り返ると、一部に安心材料も見られますが、事態の推移に注視は必要です。

出足好調だったマクリ政権に改革疲れ

 中道右派のアルゼンチンのマクリ政権は15年12月に発足し、矢継ぎ早に変動相場制へ移行(15年12月)、資本規制緩和(同)、対外債務問題の交渉合意(16年4月)などを実施してきました。しかし、足元、国内外に通貨安要因が見られます。

 国内要因として、マクリ政権前の反米左派政権が残した負の遺産である過剰負債の解消は難問です。例えば、マクリ政権は補助金削減など歳出削減を進める一方、政治的理由から年金改革は遅れています。

 対外返済能力のひとつの目安である外貨準備高は概ね上昇傾向(図表2参照)ですが、短期対外債務も同規模と、健全性は低いままです。為替介入による外貨準備減少が信用リスクを悪化させる点を格付会社が指摘しています。

 アルゼンチン政府は財政改革として、電気やガスなど公共料金を引き上げ歳入増を目指していましたが、市民は(20%を超える)高インフレに不満を持つため改革案の調整を迫られています。尚、アルゼンチンはインフレ目標の引き上げを17年末に迫られるなど、物価抑制に苦慮しています。

 市民には改革疲れも見られ、マクリ政権への不満も高まっています。支持率も発足当初(7割程度)に比べ低下しています。そうなると、連立与党政権(カンビエモス)への不安から、19年の選挙まで投資を控える動きも想定されます。

 それでも、安心材料は見られます。まず、タイミングという点では大いに問題はあるにせよ(年初には利下げしていた)、最終的に利上げを選択し、追加利上げも示唆した点などには、一定の評価も見られます。また、4日に発表した、基礎収支(プライマリーバランス)赤字対GDP(国内総生産)比率の抑制目標を従来の3.2%から2.8%へ引き下げ(厳格化し)たことも、財政改革への意欲継続と見られます。

 新興国の通貨動向は米国金融政策次第という面はあるにせよ、ぜい弱な国が狙われる傾向が見られます。安心材料があるも不十分なアルゼンチンの動向に注視は必要です。

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