イタリア政治混乱と市場の反応 | ピクテ投信投資顧問株式会社

イタリア政治混乱と市場の反応 欧州/ユーロ圏

マッタレッラ大統領が27日夕、五つ星運動と同盟が推す反EU派のパオロ・サボナ氏の財務相指名を拒否、反EU派を含む連立政権が誕生する可能性がほぼ消滅しました。市場は一時ユーロ高となりましたが、今後の展開などへの観測を背景に、ユーロ安や、イタリアでは国債や株式が下落し、信用力の悪化が見られます。

イタリア政局混迷:イタリア大統領は親EU派を次期首相に指名、連立工作は白紙に

 イタリア政局の先行きが不透明となっています。イタリアのマッタレッラ大統領は2018年5月28日、緊縮財政路線に理解を示す親欧州連合(EU)派で、国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を次期首相候補に指名し、組閣を命じました。

 EUとの関係見直しを掲げたポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」の両党が首相候補としてジュセッペ・コンテ氏を担ぎ上げ進めていた連立政権工作は事実上白紙となりました。これを受け、五つ星運動は大統領の弾劾を模索するなどイタリア政局は混乱しています。

どこに注目すべきか:イタリア連立政権、暫定内閣、再選挙、ユーロ

 マッタレッラ大統領が27日夕、五つ星運動と同盟が推す反EU派のパオロ・サボナ氏の財務相指名を拒否、反EU派を含む連立政権が誕生する可能性がほぼ消滅しました。市場は一時ユーロ高となりましたが、今後の展開などへの観測を背景に、ユーロ安や、イタリアでは国債や株式が下落し、信用力の悪化が見られます(図表1参照)。

 市場の反応の背景として次の点に注目しています。

 まず、今後のシナリオとして、比較的短期に再選挙となり再選挙では、反EU政党が勢力を強める可能性があります。マッタレッラ大統領が指名したコッタレッリ次期首相候補が今後閣僚名簿を大統領に提出して組閣をしても、議会で五つ星運動と同盟が信任する理由はないため、短期的な暫定内閣にとどまる見込みです。また、報道によるとフォルツァ・イタリアを率いるベルルスコーニ元首相もコッタレッリ氏不支持の意向をと伝えられています。議会の信任がなければ9月にも再選挙との観測報道が見られます。

 では、仮に再選挙となった場合のイメージですが、報道などで世論調査の動向を見ると、3月4日の総選挙で得票率17%を記録した同盟の支持率は、足元上昇してきたという調査もあります。五つ星運動の支持率も総選挙時の水準を維持していると見られ、有利に選挙を進める可能性があります。

 再選挙について支持率以外の要因に注意が必要です。イタリアの大統領に首相の任命権は憲法上定められています。しかし、今回のように有権者の声を超えた介入を大統領に認めるかは判断の分かれるところです。この点を踏まえ、有権者の支持が反EU政党に流れる可能性も考えられます。

 市場の反応の背景は、反EU政党の合意書から判断して財政拡大への懸念も大きいと思われます。既に格付け会社の中にはイタリアを格下げ方向で検討しているところもあります。その格付け会社の声明を見ると、財政拡大の例として合意書にある税率の簡素化を指摘しています。簡素化は聞こえは良いですが実態は減税です。しかも財源は明示していない典型的な放漫財政政策です。イタリアは銀行セクターに問題が残る中、EUの協力で何とか小康状態を保っている中での反EUの動きというのも不安要因と思われます。

 ただ、イタリアのユーロ離脱懸念は慎重に考える必要があります。ユーロ加盟国には共通して緊縮(安定的?)財政運営が求められており、その結果イタリアには厳しい財政規律が要求されています。イタリア国民はEUの厳しい財政規律に不満で緩和を求めています。しかしユーロ離脱となると別問題です。3月の選挙では、反EU政党であっても、ユーロ離脱を問う国民投票の実施を公約に含めなかったのは、恐らく支持が得られないと判断したためと思われます。

 イタリアの今後の政治動向の予想は困難ですが、ポイントとして、財政拡大の程度と、ユーロ離脱リスクをどの程度まで織り込む必要があるかに注目しています。慎重に事態を注視する一方で、過剰な反応に注意すべきとも見ています。

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