ドイツ銀行の格下げに見る、欧州勢の問題点 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ドイツ銀行の格下げに見る、欧州勢の問題点 欧州/ユーロ圏

業績不振が懸念されるドイツ銀行の格下げが公表されました。発表内容は市場が懸念していたほど深刻でなかったと見られ、ドイツ銀行の劣後債や株価は小幅ながら反発も見られました(図表1参照)。ただドイツ銀行も含めて、より幅広く他の欧州銀行にも根深い構造的問題があることから、今後も注意が必要です。

S&P:ドイツ銀行を格下げ。ネガティブウオッチは解除し、格付け見通しは「安定的」

 格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)グローバル・レーティングは、2018年6月1日、ドイツ銀行の長期発行体格付けを「シングルAマイナス(A-)」から「トリプルBプラス(BBB+)」へ1段階引き下げました。S&Pは4月12日、ドイツ銀行に対しネガティブウオッチ(格下げ方向で検討)を付与していました。格下げに伴い、ネガティブウオッチは解除し、格付け見通しは「安定的」としています。

どこに注目すべきか:格下げ、CET1、投資銀行ビジネス、リストラ

 業績不振が懸念されるドイツ銀行の格下げが公表されました。発表内容は市場が懸念していたほど深刻でなかったと見られ、ドイツ銀行の劣後債や株価は小幅ながら反発も見られました(図表1参照)。ただドイツ銀行、より幅広く他の欧州銀行も含め構造的問題は根深く、今後も注意が必要です。

 まず、今回の格下げが深刻でなかった背景を簡単に述べます。ドイツ銀行の業績不振を背景にS&Pは4月にネガティブウオッチを付与していたため、今回の格下げ自体はある程度想定できたことがあげられます。また、今回のS&Pの声明では格下げの主な背景として、リストラ策の実行にリスクが伴うことへの懸念にとどめています。

 さらに、ドイツ銀行の流動性や資本は健全水準で、例えば普通株式等Tier1(CET1)資本比率は18年3月で13.4%と比較的健全です。このような財務状況の中、最も懸念された上位劣後債と劣後債の格付けは据え置かれました。

 なお、格付けの点ではムーディーズ・インベスターズ・サービスがドイツ銀行の格付け見通しを4月27日にネガティブ(ウォッチとは異なり検討期間は長い)としており今後の動向に注目しています。

 格下げ直後の反応ではなく、より構造的な問題を振り返ります。そもそも何故リストラ策が必要となったのか?原因のひとつは投資銀行ビジネスの不振です。もっとも、投資銀行ビジネスに苦しんでいるのはドイツ銀行だけでなく、欧州勢は全般に旗色が悪くなっています。例えば、投資銀行に強みのある米国勢と過去の株価を比べると欧州勢の動きが鈍くなっています(図表2参照)。投資銀行部門を反映するトレーディング収益を比べても欧州勢は劣勢です。ドイツ銀行が公表したリストラ策では行員数を19年末までに7千人程度減らすとし、法人・投資銀行(CIB)部門の大掛かりなリストラを4月に打ち出しています。なお、ドイツ銀行はCIB部門から行員600人が今年に入り辞めたことも明らかにしています。

 S&Pはリストラ策については評価する面もある一方、これだけ大掛かりなだけに実施のリスクを懸念しています。

 なお、ドイツ銀行は過去、消費者向け銀行部門ポストバンク(ドイツ版郵貯)の統合など事業再編コストや、多大な訴訟費用負担などが業績のネックとなった局面も見られます。

 ドイツ銀行の格下げはとりあえず混乱を回避した格好ですが、他の欧州銀行勢も含め構造問題への取り組みはこれから本格化するとも見られます。市場動向に注視が必要です。

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