トルコリラ、売られて、売られて | ピクテ投信投資顧問株式会社

トルコリラ、売られて、売られて 欧州/ユーロ圏

トルコに対する市場や格付会社の厳しい見方が続いています。トルコ中央銀行は5月28日に懸案の一つであった政策金利の簡素化と金利水準の調整を発表したことで、足元リラ安に落ち着きも見られます。ただ、今回の対応は必要ではあるが不十分と見られます。トルコの何が問題点なのかを述べます。

トルコを格下げ方向見直し:マクロ経済政策に不透明感

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は2018年6月1日、トルコの長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)にネガティブウォッチ(格下げ方向で検討)を付与しました。格付けはBa2 (BBに相当)に据え置いています。今回の決定の理由について、マクロ経済政策の方向性を巡る不透明感と説明しています。

どこに注目すべきか:ネガティブウォッチ、対外ポジション、選挙

 トルコに対する市場や格付会社等の厳しい見方が続いています。トルコ中央銀行は5月28日に懸案の一つであった政策金利の簡素化と金利水準の調整を発表し(図表1参照)、足元通貨リラ安に落ち着きも見られます。ただ今回の対応は必要であっても、リラ安防止には不十分と見られます。

 トルコの問題として以下の点を懸念しています。

 トルコの経済指標では2桁となっているインフレ率で、5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で12.15%上昇しています(図表2参照)。輸入超過国であるトルコは、リラ安がインフレ率の押し上げ要因と見られます。

 通貨安が経常赤字の拡大を伴う傾向のトルコでは、リラ安で対外ポジションが悪化しています。経常赤字対GDP比率は17年末で-5.6%程度と他の主要新興国に比べ見劣りする数字となっています。例えばブラジルの同比率は-0.5%、インドネシアの-1.7%、経常赤字が懸念されている南アフリカであっても-2.5%程度です。トルコは年初から2割程度リラ安が進行しており、同比率のさらなる悪化が懸念されます。

 対外ポジションの悪化で懸念されることとして、トルコの外貨の資金繰り(要対外資金調達)が懸念されます。イメージとして経常赤字と今後満期を迎える対外負債で構成されます。ムーディーズの声明によると、今後1年で約2000億ドルの資金調達が求められます。トルコは海外からの資本流入に資金調達を依存しており、投資家の信用が重要です。リラ安は名目調達額の増加を伴うだけに懸念は高まります。

 なお、トルコ政府の債務残高対GDP比率は3割程度と低い一方で、負債の多くは民間部門に分布しています。そのため、結局は民間銀行部門が信用リスクを負う構図となっています。トルコの格付けは3月に引き下げられましたが、直後に銀行の格付けも引き下げられています。ただ、負債の借換問題(信用破綻)ではなく、あくまでリラ安や金利上昇などによる返済負担の増加への懸念(信用悪化)と見ています。

 経済同様に懸念されるのが政治動向です。ネガティブウォッチの声明では政策の方向性を巡る不透明感と、遠まわしな表現をしていますが、要はエルドアン大統領の政策、特に金融政策への介入懸念と見られます。さすがにまずいと思ったのか、エルドアン大統領は最近こそ発言を修正しましたが、金利を下げればインフレ率が下がるという独特の考え方は気がかりです。なお、トルコの大統領選挙は6月24日の予定です。ムーディーズは選挙後の動きを見て格付けを判断するとし、市場同様、政治に厳しい視線を送っています。

 トルコ中銀による政策金利の簡素化などリラのプラス材料も見られますが、トルコ経済と政治に残された課題は多く、解決に時間がかかると見られます。なお、今回は野党の結束が固いなど変化の兆しも見られる選挙にまずは注目です。

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