ECB、あたかも協調口先介入 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ECB、あたかも協調口先介入 欧州/ユーロ圏

ECBのチーフエコノミストのプラート理事はECBの政策理事会冒頭で経済報告を行い、その後の議論の方向性を示す役割を負うことが多いことや、ハト派(金融緩和を選好)で知られています。そのプラート理事がタカ派(金融引締めを選好)発言をしたことなどから、ドイツ国債市場では利回りが上昇しました。

ECBプラート理事:6月会合で債券買い入れ策の今後を判断と言明

 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるプラート理事は2018年6月6日ベルリンで講演し、資産購入(資産購入プログラム、APP)を徐々に減らしていくことが妥当かの判断を来週(6月14日)の政策理事会で下す必要があるのは明らかだと述べました。

 プラート理事はユーロ圏が18年になって景気回復のペースが減速していることは認めつつも、ユーロ圏経済の基調は維持されているとして経済・物価情勢への自信を示しました。

どこに注目すべきか:プラート理事、債券購入、賃金上昇率

 ECBのチーフエコノミストのプラート理事はECBの政策理事会冒頭で経済報告を行い、その後の議論の方向性を示す役割を負うことが多いことや、ハト派(金融緩和を選好)で知られています。そのプラート理事がタカ派(金融引締めを選好)発言をしたことなどから、ドイツ国債市場では利回りが上昇しました(価格は下落、図表1参照)。

 ドイツ国債利回り上昇の背景を以下に述べます。

 まず、ECBの債券購入は18年9月以降の延長について6月の次回ECB理事会でなく、7月まで待つのではという観測報道がありました。また、イタリアの政局不安を背景にドイツなどユーロ圏コア国の国債利回りは5月末に急低下(価格は上昇)しました。このため債券購入減額・停止などの議論は先延ばしされるのではとの見方も市場の一部に見られました。これに対し、ハト派で、ECB内でも影響力が比較的大きいと見られるプラート理事が6月に債券購入の今後について検討の必要性を認めたため、市場は反応したと見られます。

 プラート理事のスピーチは、ユーロ圏の数年前の危機を題材にしていました。イタリアの政局不安は状況が異なるとはいえ意識する内容です。それでもプラート理事はユーロ圏経済の回復とインフレ率の目標への収束に自信を示しています。例えば、ユーロ圏の賃金は足元改善しています(図表2参照)。特にドイツの18年1-3月期の賃金交渉は前年同期比2.3%と、17年10-12月期の同1.7%から回復したことがけん引役となっていると説明しています。

 次に、この日は他のECBメンバーも同様の発言をし、あたかも協調介入のようになったことも利回り上昇要因と見られます。例えば、ドイツ連銀バイトマン総裁は年内債券購入終了を主張しています。クノット・オランダ中銀総裁は景気は回復しており金融政策の必要性は低下したと述べています。また、ハンソン・エストニア中銀総裁は早期の出口戦略に言及したうえで、イタリア政局懸念に対し質問が及ぶと、個別の国の問題が波及しないように当局として努力すると回答しています。イタリアでのポピュリズム政権誕生による市場の不安定な状態を当局も当然看過できないでしょうが、波及度合いを見極めれば対応可能と考えていることもうかがえます。

 なお、ECBが緩和縮小に慎重(取り下げる方向)となれば、かえって財政拡張を唱えるポピュリズム政権を勢いづかせ、財政規律が失われる懸念も想定されます。

 前回の理事会後の記者会見でドラギ総裁は債券購入についての質問に対し「興味深いことに議論しなかった」とドラギ流でかわしました。ただ、今回は債券購入策について、少なくとも検討内容を示す必要がある一方、イタリア政局見極めの時間も必要で、結論の公表は先延ばしかもしれません。

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