ブラジル、レアル安に対応策 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル、レアル安に対応策 中南米

トルコやインドが市場予想に反して利上げを発表し通貨防衛の姿勢を示す中、これまで、どちらかというと消極的な対応と見られたブラジル当局も通貨防衛を強化しました。ただ、足元こそ、レアル安に落ち着きも見られますが、為替介入だけで通貨安を防げるかは不透明で、ブラジル当局には、今後、対応が問われる展開も想定されます。

ブラジル中銀:レアル安進行を前に、為替介入の強化を表明

 ブラジルレアルは先週(2018年6月7日、現地日付)に対ドルで3.9レアル台と約2年ぶりのレアル安となりました。通貨安を背景に、ブラジル中央銀行のゴールドファイン総裁は会見で「必要に応じて」市場への介入を続ける姿勢を示し、為替・金利市場に流動性を供給すると表明しました。

 ゴールドファイン総裁の会見などを受け、ブラジルレアルは上昇に転じています(図表1参照)。ただ、年初からレアル安傾向であったことから、依然レアル安水準となっています。

どこに注目すべきか:通貨防衛、大統領選挙、構造改革、政策金利

 トルコやインドが市場予想に反して利上げを発表し通貨防衛の姿勢を示す中、これまで、どちらかというと消極的な対応と見られたブラジル当局も通貨防衛を強化しました。ただ、足元こそ、レアル安に落ち着きも見られますが、為替介入だけで通貨安を防げるかは不透明で、ブラジル当局には、今後、対応が問われる展開も想定されます。

 まず、レアル安の背景を振り返ります。米国金利の上昇に伴う資金流出は新興国に共通の要因と見られます。一方でブラジル固有の要因には、例えば10月の大統領選の動向が不透明なことがあげられます。

 大統領選挙の世論調査を見ると、収賄などの罪で収監され出馬が困難と見られている左派のルラ元大統領が3割近い支持を集めています。出馬できるかもわからない候補の人気が高いことは十分不透明要因ですが、他に有力候補がいないことも情勢を難しくしています。2位には元軍人で強硬な右派として知られ、過激な発言から「ブラジルのトランプ」とも呼ばれるボウソナロ下院議員となっています。一方、市場や産業界が期待する中道右派候補は伸び悩んでおり、懸案の構造改革を進められるか疑問が高まっています。

 トラック運転手のストライキも通貨安要因です。ストによる物流停滞の景気への悪影響もありますが、より懸念されるのは、燃料価格上昇に抗議するストを解消するため、ブラジル政府が燃料費を補助して値段を下げるという、構造改革に逆行する行動をとったことです。その上、ストの最中に行われた世論調査では国民の大多数がストを支持したことも判明し、構造改革の困難さが浮き彫りとなりました。

 さらに、ブラジル中銀がインフレ率が目標を下回る中(図表2参照)、通貨安に金融政策を使う予定はないと述べたことも(正論ではあるかもしれないが)、レアル安要因でした。

 しかし、ブラジル中銀はレアル安に背中を押されるような格好で、通貨スワップ残高を増やすこと(今週末迄に約200億ドル相当)や、巨額の外貨準備の活用を打ち出し、レアル防衛姿勢を示しました。市場は、今のところ「中央銀行と喧嘩しない」という反応となっています。

 ただ、主に通貨介入によるブラジル中銀の対応に持続性があるのか注意は必要と見ています。大統領選挙を控え構造改革の進展に疑問がある一方、他の新興国の中には臨時政策会合で利上げをする国も見られるなか、ブラジル中銀が金融政策に(景気への配慮か)慎重と映るからです。ブラジル中銀の次回金融政策会合(6月20日)では、従来の据え置きから、利上げを見込む声が市場でも徐々に増えているようです。いずれにせよ注目度の高い会合と見ています。

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