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ロシア中銀が変わった 欧州/ユーロ圏

ロシア中銀の今回の声明文のトーンはタカ派(金融引締めを選好)的で、金融緩和姿勢を示唆した前回(4月)のトーンとは異なる印象です。前回の声明文からは、年内1~2回の利下げの可能性を想定していましたが、今回の声明文を踏まえ、今後の政策運営を占う必要があると見ています。

ロシア中銀:政策金利を2会合連続で据え置くも、前回会合よりタカ派的

 ロシア中央銀行は2018年6月15日に、大半の市場予想通り、政策金利である1週間物入札レポ金利を7.25%で据え置くと発表しました(図表1参照)。インフレ期待の高まりや新興市場通貨が全般に下落傾向となる中、4月の会合に続いて利下げを見送りました。なお、市場では一部が0.25%の利下げを見込んでいました。

 ロシア中銀は声明で据え置きの主な理由を3つ、インフレ率予想の上方修正、中立的な金融政策への移行、その他の要因として地政学リスクによる通貨安等をあげています

どこに注目すべきか:インフレ率見通し、付加価値税、通商問題

 ロシア中銀の今回の声明文のトーンはタカ派(金融引締めを選好)的で、金融緩和姿勢を示唆した前回(4月)のトーンとは異なる印象です。前回の声明文からは、年内1~2回の利下げの可能性を想定していましたが、次の点を踏まえ、今後の政策運営を占う必要があると見ています。

 まず、ロシア中銀によるインフレ率予想の上方修正です。今回の声明でインフレ率予想は18年末で3.5%~4.0%(3.0%~4.0%)、19年は4.0%~4.5%(4%近辺)と(カッコ内は前回4月の予想)、上方修正されています。ロシアの5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.4%と、ロシア中銀のインフレ目標4.0%を下回っており、利下げの余地があると見られていました。

 しかし、14日にロシア政府が付加価値税(VAT)の引き上げを提案、ナビウリナ総裁は会見で、VAT税率が現在の18%から20%に引き上げられれば、インフレ率は年内に中銀目標に迫る水準に上昇する可能性があると述べており、今回タカ派的な据え置きを決定した主要な要因としています。ロシア中銀はVATによるインフレ率上昇は20年に4%程度で落ち着くとも述べていることから、来年に見込まれるVAT引き上げによる直接的な上昇よりも、間接的な影響を懸念していると思われ、この点を注視する必要があると見ています。

 次に、中立的な金融政策への移行の後退です。声明文ではロシアの中立金利(引き締めにも緩和にも作用しない金 利)は6%~7%の範囲と、前回と変更ありません。ただし、今回の声明文ではインフレ率が上昇する見通しの中で、金利を引き下げるのは適当でないと強調しています。4月の声明に見られた、追加利下げで金融政策が年内に中立になるとの内容の記述が削除されるなど利下げ路線(図表1参照)は、インフレ見通しが改善しない限り後退した印象です。

 3点目は、財政政策などを含め、その他不安要因となっていますが、最も懸念しているのはルーブル安(図表2参照)と見ています。西側の追加制裁で3月に大幅なルーブル安に見舞われています。足元のルーブルの動向は他の新興国通貨に比べれば、むしろ(安値)安定とも見られますが、ロシア中銀は声明文で、先進国の金融引き締め姿勢や通商問題がルーブル安に波及し、インフレ率の上昇にいたる経路を懸念しています。

インフレ率予想を上方修正したことや、修正の背景となった要因の動向を見守るため、インフレデータ次第では利下げの可能性もゼロではないものの、ロシア中銀は当面、政策金利を据え置くことが基本姿勢と見ています。

 

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