ブラジル、これだけの不透明要因 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル、これだけの不透明要因 中南米

レアル安傾向が続く中、ブラジル中銀が政策金利の据え置きを決定しましたが、2週間ほど前にゴールドファイン総裁は通貨対策に金融政策を使わないと明言していたため、予想通りの据え置きとなっています。ただ、今回の声明では今後の金融政策をデータ次第としたことで自由度を高めたといえる一方、先行きの不透明感が高まったとも見られます。

ブラジル中銀:政策金利を6.5%に据え置き、今後の金融政策の自由度を高める

 ブラジル中央銀行は2018年6月20日まで開いた通貨政策委員会で、政策金利を過去最低の年6.50%で据え置くことを全会一致で決定しました。市場の予想通り、前回5月に続き2会合連続で政策金利を据え置いたこととなります。

 ただ、前回(5月)の声明で政策金利を現行水準に維持するとしていましたが、今回の声明ではその文言を削除し、かわりに今後の金利決定は経済動向やインフレ見通しなどのデータ次第へと変更しました。

どこに注目すべきか:ストライキ、構造改革、インフレ率、選挙

 レアル安傾向が続く中、ブラジル中銀が据え置きを決定しましたが、2週間ほど前にゴールドファイン総裁は通貨対策に金融政策を使わないと明言していたため、予想通りの据え置きとなっています。ただ、今回の声明では今後の金融政策をデータ次第としたことで自由度を高めたといえる一方、先行きの不透明感が高まったとも見られます。

 ブラジルの不透明感として、次の点があげられます。

 まず、5月に起きた燃料費上昇に抗議する大規模なトラック運転手によるストライキの経済活動への影響です。経済データへの影響も一部に見られます。例えば、物流の停滞を受け、回復が続いていた自動車生産は5月に前年同月比15%程度低下しました(図表1参照)。5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)も低下しています。一時的な減速と思われますが、慎重に見守る必要がありそうです。

 なお、ストライキの解決に向け政府が価格支援を余儀なくされ、構造改革に懸念が高まった点もマイナス要因です。

 次に、インフレ率は5月の消費者物価指数(IPCA-15)は前年同月比2.7%台と低水準でした。ただし、レアル安などを背景に、6月の市場予想は3.5%台と上昇が予想されています。また、気になるのはブラジル中銀のインフレ予想で、18年末は4.2%になると見込み、前回の予想3.6%から上方修正しています。予想の前提となる政策金利は6.5%で前回と同じですが、レアルは対ドルで3.63と、前回の3.60からレアル安となっています。もっとも、ブラジル中銀が為替介入を積極化させたことでレアルにやや落ち着きが見られることや、上方修正したとはいえインフレ率は目標(18年は4.5%)を下回る水準であることから当面様子を見る余裕はあると思われます。それでも米国の利上げ等で、レアル安、結果インフレ加速の懸念が残されている点は不透明要因と見られます。

 最後に、恐らく当面の最大の不透明要因に大統領選挙があげられます。やや人気にかげりが見られるも、収監され出馬自体が不透明な左派のルラ氏が一番人気です。出馬可能か不透明なルラ氏を除いた世論調査では、右派のボウソナロ下院議員の支持が高くなるなど選挙動向も読みにくい展開です。もっとも、足元はワールドカップで世論調査は開店休業となっています。

 なお、寄付が期待できないルラ氏の選挙資金ですが、クラウド・ファンディングで、他の候補に比べ巨額の資金を集めているとの報道もあります。ルラ氏の草の根運動の強さを物語るもので、同氏は何らかの形で選挙に影響を与えそうです。

 これだけ不透明な要因がある中、ブラジル中銀が声明文から次回の据え置きを除外し自由度を高めたのはもっともな選択と思われます。金融政策を占う上ではレアルの動向が政策の方向性にもっとも影響する展開と見られます。

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