アルゼンチン、IMF支援で100年債は一息 | ピクテ投信投資顧問株式会社

アルゼンチン、IMF支援で100年債は一息 中南米

アルゼンチンは1年ほど前に100年満期の債券を発行(利率7.125%、2117年6月償還)しましたが、アルゼンチンの現状を受け大幅に下落しています。IMFの融資は財政不安を打ち消す点で債券や通貨にとって支援材料ながら、浮き彫りとなったアルゼンチンの問題解決には時間がかかることも想定されます。

アルゼンチン:ペソ安に直面する中、IMFの融資500億ドルが承認される

 国際通貨基金(IMF)は2018年6月20日の理事会で、ペソ急落に直面するアルゼンチンに対し、最大500億ドル(約5兆5千億円)の融資を承認しました。このうち150億ドル分の融資は同日実行されました。融資期間は3年間で、IMFは四半期ごとにアルゼンチンの経済状況などを見直し(レビュー)し、必要に応じて残り350億ドルの融資を判断します。

 アルゼンチンは、急激なインフレや財政赤字等の問題を抱えています。18年年初、米国の利上げ観測に伴い資本逃避が加速、大幅なペソ安(図表1参照)となっています。

どこに注目すべきか:IMF融資、プライマリーバランス、独立性

 アルゼンチンは1年ほど前に100年満期の債券を発行(利率7.125%、2117年6月償還)しましたが、アルゼンチンの現状を受け大幅に下落しています(図表1参照)。IMFの融資は財政不安を打ち消す点で債券や通貨にとって支援材料ながら、浮き彫りとなったアルゼンチンの問題解決には時間がかかることも想定されます。

 アルゼンチンのマクリ政権に対し、改革への期待が残る一方で、同政権は財政と経常赤字、ペソ安に直面しています。このような局面でのIMFの融資で、債券や通貨の下落は一服ですが、今後の回復には次の点に注意が必要です。

 まず、IMFの融資は総額500億ドルですが、初回の150億ドルは拠出が決定していますが、残りについてはIMFのレビュー、例えば財政状況などの条件に依存します。したがって、IMFから融資を受けるためのコストが高いとアルゼンチンが判断したならば、アルゼンチンは市場での資金調達(例えばグローバル債発行)を余儀なくされる可能性もあります。

 次に、融資の目処となる財政改善目標を見るとハードルは高いと思われます。例えば、プライマリーバランス(基礎的財政収支)対GDP(国内総生産)比率を19年のマイナス1.3%予想から、20年にゼロ、21年にはプラス0.5%へ改善させるとしています。過去の水準を見ても、実現のハードルは高いように思われます(図表2参照)。

 アルゼンチンは中央銀行の独立性を高める案を議会に提出、IMFも歓迎の意向を示しています。アルゼンチン政府の資金調達が困難であったことから行っていたアルゼンチン中銀から政府への資金供給は停止するとしています。独立性確保の点は望ましいのですが、政府の財政を悪化させる懸念もあります。

 最後に、アルゼンチン国民の改革への姿勢が問われることとなります。アルゼンチンの、やや楽観的に思える、今後の経済成長予想を見ても水準が高いとはいえません。財政改革の実施にあたり、歳出削減など国民の負担が高まることも懸念されます。現政権が登場して2年以上、それでもインフレ率は25%を超えるなど、改革への不満も高まっているようです。このような中、アルゼンチンでは来年に大統領選挙が予定されています。20年以降の財政改革は選挙結果に大きく左右される展開も想定されます。

 大幅な財政改善目標や中銀独立性確保など、期待したい要因が多々ある一方、実現性の確認は必要と見られます。

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