米中貿易摩擦激化の中で、ひっそりと経済指標 | ピクテ投信投資顧問株式会社

米中貿易摩擦激化の中で、ひっそりと経済指標 米国

米雇用統計は通常注目度の高い統計です。しかし、7月6日に米中相互で関税合戦が演じられたため、関心は低かったように思われます。ただ、米中貿易摩擦が実弾(関税)による合戦へと移行したからこそ、経済指標により現状を把握する必要性も高いと見られます。

米6月雇用統計:雇用者数は21.3万人増となるも賃金の伸びは減速、失業率上昇

 米国労働省が2018年7月6日に発表した6月の非農業部門雇用者数(季節調整済)は前月比21.3万人増と、市場予想(19.5万人増)を上回りました。前月は24.4万人増と速報値22.3万人増から上方修正されました。家計調査に基づく失業率は4%と、市場予想(3.8%)、前月(3.8%)を上回りました。平均時給は前月比0.2%増で、市場予想(0.3%増)、前月(0.3%増)を下回りました。

 米中貿易摩擦が注目される中、同日に貿易収支も発表されました。5月の財とサービスを合わせた貿易赤字は431億ドルと、市場予想(436億ドル)、前月(461億ドル)から縮小しました。なお、中国に対する貿易赤字(財のみ)は320億ドルと、前月の308億ドルから拡大しました。

どこに注目すべきか:貿易摩擦、雇用者数、労働参加率、貿易収支

 米雇用統計は通常注目度の高い統計です。しかし、7月6日に米中相互で関税合戦が演じられたため、関心は低かったように思われます。ただ、米中貿易摩擦が実弾(関税)による合戦へと移行したからこそ、経済指標により現状を把握する必要性も高いと見られます。

 この観点で6月の雇用統計を振り返ると、貿易戦争とまで表現される状況ではありますが、雇用については米中貿易摩擦を懸念して雇用者を絞る気配は見られません。一部米国輸出メーカーが、関税を回避するため生産拠点を海外に移す計画であると報じられました。しかし、製造業などを含む財生産部門の雇用は増加しています(図表1参照)。

 小売などを含む民間サービス部門は6月減少していますが、5月に2.5万人と大幅に増加した小売が、6月は(恐らく)反動減で減少したことなどが影響したと見られ、基調が大幅に悪化したと判断する根拠は乏しいように思われます。

 失業率は4.0%に上昇(悪化)しましたが、内容を見ると労働参加率が62.7%から62.9%へ上昇という、改善(働く意欲を回復させた人が増えた)の結果で、前向きとも見られます。

 ただ、平均賃金の伸びは、改善ペースが続くも、上昇率が頭打ちとなっていることは、やや気がかりです。

 今回の雇用統計では、貿易摩擦の雇用への影響が確認されない一方で、労働参加率の上昇や、賃金の低い伸びなどインフレ圧力が低いことも示唆される内容と見られます。

 なお、6日は同日に5月の米貿易収支も公表され、貿易赤字が縮小しました(図表2参照)。ただ、関税懸念で輸入が拡大し赤字が拡大した2月分からの反動や、5月は大豆の輸出がほぼ2倍の41億ドルとなるなど、単月での変動が見られたに過ぎず、現段階では本格的な基調変化は見つけにくい状況です。対中国貿易赤字(財のみ)は320億ドルと、前月の308億ドルから、むしろ拡大していることからも、米当局が意図する動きとは異なるように思われます。

 米中貿易摩擦が中間選挙までの駆け引きなのか、本格的な貿易戦争に発展するのか予断は許しません。ただ、政治的なトークに目を奪われがちですが、経済指標で動向を確認することも重要になると思われます。

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