閣僚辞任、英国メイ首相の賭けの正体 | ピクテ投信投資顧問株式会社

閣僚辞任、英国メイ首相の賭けの正体 欧州/ユーロ圏

英国のEU離脱交渉を巡る英国内の動向について報道が少なく感じていました。「知らせが無いのは良い知らせ」という言葉もありますが、離脱交渉期限を来年3月に控える英国にとって、「知らせが無いのは」などというのんびりした雰囲気ではないようです。

英国EU離脱強硬派に辞任相次ぐ:EU離脱案を巡りメイ首相が目指す柔軟路線に反対姿勢

 英国のジョンソン外相が2018年7月9日、欧州連合(EU)離脱案を巡りメイ首相が目指す柔軟路線に反対して閣僚を辞任しました。ジョンソン外相はEU離脱が問われた16年の国民投票で、離脱支持を呼び掛けた代表格です。

 なお、8日にはデービスEU離脱担当相と側近のスティーブ・ベーカー次官も辞任しています。19年3月にブレグジット(英のEU離脱)期限が迫る中での2閣僚の相次ぐ辞任は、メイ政権にとり痛手となる可能性も考えられます。

どこに注目すべきか:EU離脱交渉、穏健派、強硬派、ポンド

 英国のEU離脱交渉を巡る英国内の動向について報道が少なく感じていました。「知らせが無いのは良い知らせ」という言葉もありますが、離脱交渉期限を来年3月に控える英国にとって、「知らせが無いのは」などというのんびりした雰囲気ではないようです。

 まず、今回の対立の構図を簡単に振り返ります。英国メイ政権は保守党と少数政党の閣外協力でようやく過半数を維持する綱渡り運営となっています(図表1参照)。

 ただ、保守党の中身を見ると、EU離脱交渉の方針について穏健派(ソフトブレグジット)と強硬派(ハードブレグジット)の対立が見られます。大まかには、穏健派はEU単一市場(関税同盟)への残留を主張し、強硬派は離脱と色分けられます。残留するため、穏健派はEUと円滑な関税の取り決めを行い、一定の範囲でEUの規制を受け入れる考えです。

 メイ首相は、当初は強硬派路線とも見られる時期もありましたが、徐々にソフトブレグジット路線にシフトしてきたと見られます。

 この週末(6日)、メイ首相は全閣僚を首相別邸に集め、英国政府としての離脱方針を協議しました。この後、強硬派で知られる閣僚の辞任が相次ぎました。メイ首相が打ち出した穏健派寄りと見られる路線は強硬派には受け入れ難い内容(詳細は7月12日公表予定)であったことがうかがえます。

 ただ、同時に来年3月の期限(現実的には今年10月のEU首脳会議で合意が望まれる)までタイトなスケジュールの中、強硬派の対応(離党防止)はいっそう難しくなりそうですが、現実的な方針が示されたことは、前進かもしれません。

 これらの点を、為替市場の動きで確認します。

 まず、デービスEU離脱担当相辞任直後は、(現実的な)穏健派路線が進むとの期待からポンドは底堅く推移しました。

 ただ、人気が高いジョンソン外相の辞任ではメイ政権の先行きが懸念され、一転ポンド安となりました(図表2参照)。

 しかし、保守党の規則で仮に内閣不信任案が不成立となれば、今後1年は再度不信任案を提出できないことから慎重になるとの思惑や、賛同する議員が少ないとの観測からポンドは下落が抑えられる局面もありました。

 もっとも、英国の今回の方針では懸案の北アイルランド国境問題の解決に結びつくか疑問もあり、そもそもEUが英国の方針を受け入れるかも不透明です。このような状況でも、昨年の選挙同様、メイ首相は賭けにでたと見られます。

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