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格下げという視点からトルコを見る 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

通貨リラ下落などを受け、主要格付け会社がトルコに対し格下げ、もしくはフィッチ・レーティングスが声明による見解(懸念?)を同日に示しました。ただ、格下げなど、トルコに対する格付け会社の対応は想定の範囲内で、市場への影響は限定的でしたが、格付け会社のコメント等を参照すると、トルコに関する懸念要因が浮かび上がります。

トルコ格下げ:主要格付け会社、相次いでトルコ国債の信用格付けを引き下げ

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は2018年8月17日、トルコの長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をBa2 (BBに相当)からBa3 (BB-に相当)に格下げしました。なお、ムーディーズはトルコに対し6月1日にネガティブウォッチ(格下げ方向で検討)を付与していました。

 また、S&Pグローバル・レーティング(S&P)は同日にトルコの外貨建て長期債格付けをBB-からB+へ、自国通貨建て長期債格付けをBBからBB-へ格下げしました。

どこに注目すべきか:トルコ格下げ、経常収支、リラ安、外貨建債務

 通貨リラ下落などを受け、主要格付け会社がトルコに対し格下げ、もしくはフィッチ・レーティングスが声明による見解(懸念?)を同日に示しました。ただ、格下げなど、トルコに対する格付け会社の対応は想定の範囲内で、市場への影響は限定的でしたが、格付け会社のコメント等を参照すると、トルコに関する懸念要因が浮かび上がります。

 まず、トルコの懸念要因として各社共通して指摘するのは、危機に対する政策対応の不透明さです。通貨下落とインフレ率上昇(7月、前年比15.85%)が連鎖する悪循環に直面するトルコでは利上げが求められますが、エルドアン政権の影響もあり、小出しの対応のみで、政策金利の本格的な引き上げは見送られてきたことなどがあげられます。

 経済成長見通しは投資や消費の停滞などを背景に悪化が見込まれています。トルコの1-3月期GDP(国内総生産)成長率は7.4%(図表1参照)ですが、S&Pは19年にマイナス0.5%に転じると見込んでいます。なお、成長予想の前提として、トルコ国内銀行が対外債務の借り換えを今後3年間(希望をこめて?)実施できることを仮定しています。

 経常収支は対GDP比率がマイナス6.3%と悪化傾向です(図表1参照)。しかし、景気悪化による輸入減とリラ安により、19年はマイナス2%台へと改善を見込む格付け会社もあります(S&Pなど)。

 しかし、リラ安は流動性リスクという、より深刻な問題を引き起こす可能性が考えられます。外貨建債務の占める割合が高い(4割程度)トルコでの通貨安は、どの格付け会社も債務負担増に対する懸念を表明しています。市場でも国債利回りは急上昇(価格は下落)するなど(図表2参照)資金調達環境の悪化は気になるところです。

 加えて、リラ安による輸入物価上昇、インフレ率上昇は消費を抑え、税収を減少させる要因との指摘も見られます。

 トルコの18年の対外要資金調達額は2290億ドル程度と見込まれており、外貨準備高(含む金、6月末)約970億ドルを大きく上回る点も懸念として指摘されています。

 ただし、トルコ政府の債務残高対GDP比率は3割前後と、国際的に見ても健全な水準で、民間の債務問題が発生したとしてもある程度の対応は期待できること、過去、トルコは危機を回避してきたことなどはプラス要因としています。

 トルコの信用リスク改善に求められているのは、リラ安抑制に有効な政策がとられることですが、前途多難にも見えます。

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