ルーブル安でロシア中銀のルーブル売りは不釣り合い | ピクテ投信投資顧問株式会社

ルーブル安でロシア中銀のルーブル売りは不釣り合い 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

ロシアの財政ルールによる外貨購入(ルーブル売却)は、ロシアの外貨準備高の安全性を高めることなどを目的に導入されましたが、足元ではルーブル安要因となる面も指摘されていただけに、停止自体に問題は無いと思われます。ただ、停止の背景である米国の追加制裁の行方が本当の懸念と見ています。

ロシア中銀:財政ルールに基づくルーブル売り、外貨買いを9月末まで停止

 ロシア中央銀行は2018年8月23日、財政ルールに基づき実施してきた「ルーブル売り・外貨買い」を9月末まで停止すると発表しました。ロシア中銀はロシア財務省の代理で財政ルールの実施を行ってきました。

 ここ数日、米政府内で議論されている新たなロシア制裁案に対する警戒感からルーブルは下げ足を速め、おおよそ2年ぶりの安値水準まで下落していました(図表1参照)。しかし、ロシア中銀の発表を受け、ルーブルは下げ幅を縮小する動きを見せました。

どこに注目すべきか:財政ルール、外貨購入、ルーブル、経済制裁

 ロシアの財政ルールによる外貨購入(ルーブル売却)は、ロシアの外貨準備高の安全性を高めることなどを目的に導入されましたが、足元ではルーブル安要因となる面も指摘されていただけに停止自体に問題は無いと思われます。ただ、停止の背景である米国の追加制裁の行方が本当の懸念と見ています。

 まず、先の財政ルールの内容を振り返ります。ロシアは原油価格の変動による通貨の変動を抑制する目的で、17年年初から、ウラル産原油価格が予算で前提とする水準(17年は1バレル=40ドル)を超えた場合、予算(歳入)で外貨を購入する仕組みです。原油価格の上昇に応じて外貨購入が増え、通貨の変動が抑制されることが期待されます。

 ロシア財務省は17年末に18年の外貨購入予算を2兆ルーブル程度計上することを見込む一方、ウラル産原油価格を1バレル=55ドル程度と想定していました。

 次に、ロシアの外貨準備と原油価格の動向を振り返ると、両者は概ね連動する傾向が見られます。17年に財政ルールによる外貨購入が始まると、原油価格が下落する局面でも外貨準備高は上昇し、その後は原油価格も外貨準備高も上昇傾向です(図表2参照)。

 ロシアは15年の頃、西側の制裁を背景に大幅なルーブル安となり、為替介入のため外貨準備が減少、対外的な安定性を喪失しました。

 しかし、外貨準備高の水準は、急落前の水準に近づいています。むしろ外貨購入のためのルーブル売却はルーブルの下落圧力となっていた可能性が高く、外貨購入の停止はルーブルに小幅ながらプラスと思われます。

 やはり気になるのは、外貨購入停止を決めた、恐らく本当の背景である米国によるロシアへの追加経済制裁懸念です。制裁の内容は定かではありませんが、経済活動に影響を与えています。ロシア政府は来週、経済成長率予想を公表予定ですが、成長率は下方修正が示唆されています。また、ロシアが16年の米国大統領選挙に関与したといわれるロシア疑惑の捜査の進展も気になるところです。

 ルーブルには、原油価格の回復傾向など下支え要因もあり回復期待もある一方、上値を重くする要因にも注意が必要です。

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