ロシアの国債利回り上昇について、ひと言 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ロシアの国債利回り上昇について、ひと言 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

ロシア財務省の国債購入は米国の追加制裁により売却を迫られる可能性がある一部投資家の受け皿になるという内容です。その意味では緊急事態への対応について述べたもので、現局面でのロシア国債利回りの動向にはあまり影響が無いと思われます。むしろ、ロシア経済と政治動向が利回り上昇に影響していると思われます。

ロシア国債利回り上昇:16年以来の9%台、市場は将来的な引き締めを想定

 ロシア10年国債利回りは2018年9月6日に、16年5月以降で初めて9%を上回りました。16年当時、10年債利回りが現在の水準を上回っていた背景は、原油価格が、おおよそ1バレル=40ドル台と、現在より4割程度低い水準で推移していたことによるものです(図表1参照)。

 新興国市場全般に通貨安傾向が見られる中、足元ロシアルーブルの下落傾向に伴い、ロシア国債利回りも上昇(価格は下落)しています。なお、報道によると、ロシア財務省は5日に米国の新たな制裁で市場が混乱する恐れがある場合、自らが発行したルーブル建て債券を買い戻す緊急措置を取る用意があることを示唆しています。

どこに注目すべきか:ロシア国債、原油価格、ルーブル、利上げ

 ロシア財務省の国債購入は米国の追加制裁により売却を迫られる可能性がある一部投資家の受け皿になるという内容です。その意味では緊急事態への対応について述べたもので、現局面でのロシア国債利回りの動向にはあまり影響が無いと思われます。むしろ、ロシア経済と政治動向が利回り上昇に影響していると思われます。

 ロシア経済で、利回り上昇要因として考えられるのは潜在的なインフレ率の上昇懸念です。

 足元のインフレ率は落ち着いています。先日公表されたロシアの8月の消費者物価指数は前年同月比3.1%と低水準です(図表2参照)。しかし、15年のロシアのインフレ率は2桁の伸びとなっていました。原油価格低迷を受け、ルーブル安が進行したため、輸入インフレが一気に加速した格好です。

 ロシア経済の構造的もしくは長期的課題は、豊富な資源を輸出して、生活に必要な物資を輸入するという経済から脱却して、自ら必要物資の生産性を高めることです。ルーブル安のインフレ率上昇の感応度が相対的に高いのは、長年の課題の解消が不十分と見られます。

 次に、インフレ率の潜在的な上昇懸念に対する目先の対応として利上げが考えられます。ロシア銀行(中央銀行)のナビウリナ総裁は、4日の記者会見で、9月14日(来週)に公表される金融政策会合で、政策金利引き上げの可能性が無いわけではないと述べています。

 ピクテでもロシアの金融政策は、18年年内、据え置きが基本シナリオとは見ています。しかし、期待インフレ率が抑制されることが前提であり、インフレ懸念が高まれば、ロシア中銀は引き締めに転ずると見ています。

 ロシア経済の構造から、期待インフレ率を左右する最大の要因はルーブルの動向と見られます。新興国通貨市場のセンチメントの悪化、米国の追加経済制裁などに当面注視が必要です。ロシア国内要因としては付加価値税増税の物価への影響を迫られる可能性も考えられます。利上げのタイミングは予想しがたいのですが、ロシア中銀は引き締めスタンスを維持すると思われます。

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