粛々と進んでいる、英国のEU離脱物語 | ピクテ投信投資顧問株式会社

粛々と進んでいる、英国のEU離脱物語 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

英国のEU離脱交渉について、足元の状況を振り返ります。結論から言えば、英国メイ首相のEU離脱白書(穏健路線)に基づき19年3月の期限に向け、交渉を進める方向です。16年の国民投票当時はEU離脱に否定的であったカーニー総裁も現実的な判断から任期を延長したようにも見えます。

英中銀カーニー総裁:EU離脱の混乱回避に向け20年1月まで留任、任期を7ヵ月延長

 英国政府は2018年9月11日、イングランド銀行(BOE、中央銀行)のカーニー総裁の退任時期を従来の19年6月から20年1月末まで7ヵ月延期すると発表しました(図表1参照)。英国は19年3月に欧州連合(EU)からの離脱を予定しており、退任による市場の不安を取り除く狙いと見られます。

 EU離脱決定後に想定される政治混乱の中で、金融政策に精通するカーニー総裁は安定化の役割が期待されていました。一方で、政治に踏み込み過ぎとの批判も受け、先週の議会証言で、任期延長を協議していることを認めたものの、詳細については言明を避けていました。

どこに注目すべきか:EU離脱白書、穏健路線、EU首脳会議

 英国のEU離脱交渉について、足元の状況を振り返ります。結論から言えば、英国メイ首相のEU離脱白書(穏健路線)に基づき19年3月の期限に向け、交渉を進める方向です。16年の国民投票当時はEU離脱に否定的であったカーニー総裁も現実的な判断から任期を延長したようにも見えます。

 まず、EU離脱交渉の動向を反映する傾向があるポンドの動きを見ると、年初からポンドが軟調でした。金融引締めペースが緩やかといった背景もありますが、19年3月に合意なき離脱を迎えることへの懸念も反映したと見られます。

 ただ、ポンドは足元反転の兆しも見られます(図表2参照)。その背景は、合意なき離脱への懸念が若干後退したためと見ています。

 英国は与党保守党内部でもEUとの関係を重視しない強硬派と反対に一定の関係を模索する穏健派に分かれています。この国内での路線の対立はEUとの合意に向けマイナス材料でした。7月に、メイ首相が公表した「白書」は、どちらかといえば内容が穏健路線でした。英国内での対立は残りますが、EUとの合意の模索に都合の良い内容でした。

 ただ、EUが白書の内容を受け入れるか、それとも英国のいいとこどり、として切り捨てるか、当初は判断しかねました。

 しかし、ここにきて、EUは白書の内容に理解を示しているようです。11月に臨時のEU首脳会議開催の可能性が報道されていることなどに変化が感じられます。EUとの合意後に英国議会での承認プロセスが必要なことから、一応の合意期限と見られていた10月の首脳会議まででの合意が難しくても、11月の臨時の首脳会議を開催するならば、合意をあきらめていないことの表明になると見られます。

 もっとも、9月のEU首脳会議でも未解決となったアイルランドとの国境問題は難題で、議論は平行線のように思われます。さらに厄介なのは、英国国内の強硬派がメイ首相の路線に対し、不満が高まっていることです。強硬派は数の上では首相不信任(実行するとは思えないが)も可能な勢力が残っているだけに、波乱要因となる可能性もあります。

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