トルコ中銀の決断に安堵するも、困難は継続か | ピクテ投信投資顧問株式会社

トルコ中銀の決断に安堵するも、困難は継続か 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

トルコ中銀の市場予想を上回る利上げを受け、通貨リラは上昇しました。トルコ中銀の金融政策運営の制約となっていたエルドアン大統領が、利上げ公表の直前も引き続き、利上げに反対姿勢を示していたにも関わらず実施した点は、過小評価すべきでないと思われます。ただ、今後も試練が想定されるだけに、政治と中央銀行の対立が残るよう見受けられるのは気がかりです。

トルコ中央銀行:リラ大幅高。市場予想を上回る政策金利の引き上げで

 トルコ中央銀行は2018年9月13日に金融政策委員会を開催、政策金利である1週間物レポ金利を17.75%から6.25%引き上げ24.00%としました。市場では3.25%の利上げが見込まれていました(図表1参照)。

 エルドアン大統領はトルコ中銀の政策金利引き上げ発表の2時間ほど前に、金利を引き下げるべきだと発言していただけに、トルコ中銀は独立性を示した格好です。

どこに注目すべきか:リラ安、市場予想、通貨危機、トルコ経済

 トルコ中銀の市場予想を上回る利上げを受け、通貨リラ、トルコ株式市場は上昇しました。トルコ中銀の金融政策運営の制約となっていたエルドアン大統領が、利上げ公表の直前も引き続き、利上げに反対姿勢を示していたにも関わらず実施した点は、過小評価すべきでないと思われます。

 ただ、今後も試練が想定されるだけに、政治と中央銀行の対立が残るよう見受けられるのは気がかりです。

 まず、6.25%という利上げ幅については妥当な水準と思われます。トルコ中銀が前回5月末に利上げと政策金利の明確化を実施した頃の消費者物価指数(CPI)は前年比12%台前半で推移していました。足元のインフレ率は同17.9%まで上昇している上、リラ安を受け今後もインフレ率が上昇する見込みです。インフレ率上昇分を埋め合わせるには、妥当な利上げ幅と見られます。

 ただ、事前の市場予想が3%程度と低く見積もった背景に、トルコの政治状況を考慮したとも考えられます。その意味で、今回のトルコ中銀の利上げ幅はサプライズです。

 次に、利上げ後に想定される試練として経済の悪化があげられます。

 トルコは過去にもたびたび通貨下落を経験しています(94年、99年、01年、08年など)。例えば、政権内の深刻な対立から、01年にリラは暴落しました。結局は、現在エルドアン大統領が否定し続けている国際通貨基金(IMF)支援に伴う国営企業の民営化や金融機関の再編で回復した経緯があります。

 当時を振り返るとGDP(国内総生産)成長率は急落しています(図表2参照)。高インフレ率と高金利が大幅な成長率低下の背景と見られます。もっとも経常収支(対GDP(国内総生産)比率)は改善しましたが、マイナス成長による輸入減少が理由であり、とても望ましい改善と思われません。

 トルコの4-6月期GDP成長率は前年比5.2%と、足元堅調に見えますが、財政政策で底上げされた数字という要因があります。今後、財政政策効果が減退、利上げとインフレ率上昇による消費低迷などで成長率下落が想定されます。

 トルコ中銀は勇気ある決意を示しました。ただ、懸念をあげるなら、今後の成長率低下局面でも断固とした金融政策を維持できるかには不安も残ります。その上、このような困難に立ち向かうには政治との一体感が求められますが、エルドアン大統領の言動には不安も覚えます。リラの本格的な回復には、もう少し確認する点があるように思われます。

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