トルコの米国人牧師解放はリラに良いニュースだが | ピクテ投信投資顧問株式会社

トルコの米国人牧師解放はリラに良いニュースだが 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

根強いインフレ率上昇懸念など経済指標の悪化に加え、米国との関係悪化もリラ安の一要因となっていただけに、米国人牧師の解放は、9月の利上げと共にリラにとって良いニュースです。ただ、リラを巡る問題は根深く、解決には時間がかかる可能性もあります。

トルコ裁判所:クーデター未遂事件に関与したとして訴追されていた米国人牧師を釈放

トルコ、イズミルの裁判所は2018年10月12日、テロ関連の罪に問われていたトルコ在住の米国人牧師アンドルー・ブランソン氏の軟禁解除を認める判決を出しました。裁判所はブランソン氏に有罪判決を下し、禁錮3年余りを言い渡した上で減刑やこれまでの勾留期間を考慮する形で全ての法的制限を解除し、同氏の釈放を決定しました。

トルコ政府の同氏の拘束に対し、米国はトルコ政府高官2人への経済制裁を8月月初に発表、またブランソン氏を釈放しなければ追加制裁を科すと警告していました。

どこに注目すべきか: 米国人牧師、政策金利、独立性、経常黒字


根強いインフレ率上昇懸念など経済指標の悪化に加え、米国との関係悪化もリラ安の一要因となっていただけに、米国人牧師の解放は、9月の利上げと共にリラにとって良いニュースです(図表1参照)。ただ、リラを巡る問題は根深く、解決には時間がかかる可能性もあります。

トルコリラは、変動はありますが、足元回復傾向です。主な要因は、9月13日の市場予想を上回る利上げです。

数は少ないですが、経済指標にもプラス材料が見られます。8月、トルコの経常収支が黒字に転換しました(図表2参照)。15年中頃や09年に一時的かつ小幅な黒字を記録していますが、明確な経常黒字は2000年代前半以来となります。黒字転換の背景にリラ安が考えられますが、景気悪化、需要縮小による輸入減も改善の要因と見られます。



今回の米国人牧師の解放もプラス材料と見られます。市場やメディアでは先月後半から米国人牧師解放の可能性が取り上げられていました。ブランソン牧師が米国帰国後、トランプ大統領と13日に面会したことは、中間選挙を控えるトランプ大統領にも朗報と思われます。

ただし、リラを取り巻く問題は根深く、足元の回復傾向の持続性に注意も必要です。

例えば、前回の金融政策会合で、政策金利を24%としたトルコ中銀が、今後も独立性を維持して政策運営できるかに注目しています。インフレ率のさらなる上昇が見込まれるトルコには、一段の利上げが必要と見られるからです。目先、次回10月25日の会合に注目です。

ただ、気がかりなのは政治です。例えば、9日にはインフレ抑制策として、年末までに10%値下げを目標としていますが、小売りなどに直接政治が圧力をかけて引き下げる模様です。また、月初には消費者物価算出の責任者が更迭されるなど、市場介入など受け入れがたい対策(?)は懸念材料です。

米国との関係は、牧師の解放で改善が期待されますが、より深刻なのはトルコの銀行によるイラン制裁違反に対する捜査です。牧師解放の見返りに捜査中止という流れになるのかは不透明で、政治問題を引きずる可能性があります。

トルコ経済も問題含みです。主に今後も上昇が想定されるインフレ率への対応、(外貨建て)債務の返済、成長率の低下などが懸念されます。経常収支が黒字化しても、金融収支は悪化しており、海外投資家の信用を回復させる政策が求められています。ただ、経常収支黒字化は為替安定、インフレ改善という流れのスタート台となる可能性もあるだけに、いばらの道ながら今後の政策対応が重要と見ています。

当資料をご利用にあたっての注意事項等

●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。 ●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。


関連レポート

一覧へ

ページの先頭へ戻る