EUサミットを前に、英国のEU離脱交渉、現状のまとめ | ピクテ投信投資顧問株式会社

EUサミットを前に、英国のEU離脱交渉、現状のまとめ 梅澤利文 欧州/ユーロ圏

英国のEU離脱交渉は、19年3月に離脱協定を発行するために英国、EU議会の承認が必要なため、当初は今週開催の10月EU首脳会議が合意の期限と見られていました。しかし、合意へのハードルは高く、12月のEU首脳会議が最終期限と示唆されています。期限の遅れは、EU離脱交渉の難しさを示唆すると共に、無秩序な離脱の可能性が高まる点に注意は必要です。

EU大統領:「合意なき離脱シナリオ」これまでになく可能性高まると懸念を表明

英国の欧州連合(EU)離脱問題でEUの首席交渉官を務めるバルニエ氏は2018年10月16日、EU加盟国の閣僚らに対し、19年3月の英国の離脱時までに離脱合意を条約として整えられる最終期限は18年12月だと語りました。

なお、欧州連合(EU)のトゥスク大統領(常任議長)は、10月17~18日に開催されるEU首脳会議を前に、英国のEU離脱について「合意なき(無秩序な)離脱シナリオの可能性がこれまでになく高まっている」との認識を示しています。

どこに注目すべきか: EU離脱交渉、国境問題、バックストップ


英国のEU離脱交渉は、19年3月に離脱協定を発行するために英国、EU議会の承認が必要なため(図表1参照)、当初は今週開催の10月EU首脳会議が合意の期限と見られていました。しかし、合意へのハードルは高く、12月(13~14日開催予定)のEU首脳会議が最終期限と示唆されています。期限の遅れは、EU離脱交渉の難しさを示唆すると共に、無秩序な離脱の可能性が高まる点に注意は必要です。

来年の3月までの秩序ある離脱へのプロセスを示したのが図表1です。現在は2段目の交渉第2弾から、3段目に向かっている状況です。

過去を振り返ると、17年6月から開始されたEU離脱交渉では①在英EU市民や在EU英国民の離脱後の市民権の保障や、②北アイルランドとアイルランドの国境問題、③英国のEUに対する債務義務について話し合われました。①は離脱前と同等の市民権を保証することや、③は英国がEUに清算金を支払うことで合意の運びとなっています。

②の北アイルランドとアイルランドの国境問題は98年の和平合意に基づき相互の自由な往来を維持するため、税関や検問所を設けない方針で合意したにとどまり、根本的な解決は先送りされました。

次に、交渉第2弾では(1)の移行期間については18年3月に、2020年12月31日までの21カ月とすることで基本合意しています。移行期間の間、英国は単一市場・関税同盟にとどまることなどが合意されています。

問題は、(2)EUとの将来の通商関係と、(3)EUが北アイルランドとアイルランドの国境を目に見えないままにし、北アイルランドを関税同盟に残す、いわゆるバックストップを解決策として提案していますが、英国は国の分断だと議論は平行線で、解決のめどはたっていないのが現状です。

では、今後どのようなシナリオが考えられるか?基本的には図表1に示した秩序ある離脱、それ以外のシナリオとして秩序無き離脱、もしくは来年3月の合意期限を延期して解決を目指す、の3つのパターンを基本の流れと考えています。

どのシナリオが実現するかを占うのは困難ですが、秩序ある離脱または来年3月の合意期限を延期する可能性を足し合わせれば、秩序無き離脱の可能性よりは高いと見ています。ただ、秩序無き離脱となる可能性も無視し得ないと思われます。さらに、ややこしいのは英国議会が合意案を承認しなかった場合などは、総選挙となる恐れもあります。

注視を続ける必要はあると見ています。

 



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