安定感が高まっていたメキシコペソに思わぬ問題 | ピクテ投信投資顧問株式会社

安定感が高まっていたメキシコペソに思わぬ問題 中南米

メキシコペソは7月の大統領選挙前後から回復傾向で、足元安定性も見られます。メキシコは通商問題で米国と合意したことや、金融政策を見ても、以前に比べれば、ペソ安懸念は後退したように思われます。そのためペソへの影響は小幅と見ています。ただ、メキシコの地政学リスクがゼロではないことを再認識する必要はありそうです。

中南米移民流入の動き:トランプ大統領は移民問題で関係国に警告

中米ホンジュラスなどから米国への移住を目指す約3千人の集団が北上を続けていると報道されています。一部はすでに隣国グアテマラに入った模様です。米国トランプ大統領はホンジュラス政府に援助停止などで警告する構えです。

こうした中、トランプ大統領は移民流入を阻止するため、メキシコ国境に軍を配備すると2018年10月18日にツイートしました。この流れを受け、メキシコペソは対ドルで約1.5%弱ほど売られる局面も見られました(図表1参照)。

どこに注目すべきか: 金融政策、インフレ率、移民流入、国境閉鎖


メキシコペソは7月の大統領選挙前後から回復傾向で、足元安定性も見られます。メキシコは通商問題で米国と合意したことや、金融政策を見ても、以前に比べれば、ペソ安懸念は後退したように思われます。そのためペソへの影響は小幅と見ています。ただ、メキシコの地政学リスクがゼロではないことを再認識する必要はありそうです。

確認の意味で、メキシコの金融政策を振り返ります。18日に、メキシコ中銀は10月4日開催の金融政策会合の議事要旨を公表しました。メキシコ中銀は18年前半のペソ安によるインフレ率上昇を抑制するため利上げ姿勢を継続、現在の政策金利は7.75%となっています。

議事要旨によると、10月4日の金融政策会合で政策金利は大半の市場予想通り7.75%で据え置かれましたが、メンバーの一人は利上げを支持しています。利上げの理由として、インフレ上昇懸念が残る点を指摘しています。最新(9月)の総合消費者物価指数(CPI)は前月比0.42%と前月(同0.58%)から低下していますが(図表2参照)、それでも前年同月比で見ると5.02% と、メキシコ中銀のインフレ目標(4%±1%)を超えています。より懸念されるのはコアインフレ率の動きです。通貨ペソの落ち着きに反し、9月は前月比で0.32%と、じり高傾向が続いています。

しかし、メキシコ経済は概ね潜在成長率近辺での推移と見られます。労働市場にも過熱感は見られず、需要要因によるインフレ圧力は高くないと思われます。

北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で米国、カナダ、メキシコの協議がNAFTAに代わる貿易協定(USMCA)で妥結したこともペソの安心材料となる可能性があります。

このように、通商問題の改善や、米国金利を上回る引き上げで落ち着きを取り戻したメキシコにとって、経済不振や治安の不安からホンジュラスやニカラグアなど中米の国々からの移民が米国を目指す場合、通過することになるメキシコにとって、移民は頭の痛い問題です。もっとも、中米からの移民問題は今に始まったわけではなく、したがって逆に言えば、長期的な取り組みが求められる問題とも見られます。

その意味で、トランプ大統領がホンジュラスなどへ資金援助を打ち切ると述べたり、メキシコに対しては移民の動きを止めるよう言葉で求め、それができないならば米軍を動員して国境を閉鎖するとまで警告(ツイッター上ですが)したのは過剰な反応のように思われます。

貿易協定の合意など、米国とメキシコの関係には改善も見られるだけに、今後の動向に関心を払っています。



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