ブラジル中央銀行、金融政策の今後 | ピクテ投信投資顧問株式会社

ブラジル中央銀行、金融政策の今後 ブラジル 中南米

ブラジル中銀が政策金利を据え置いたのは市場予想通りですが、声明文から、今後の展開を占う上で注目すべきポイントは、インフレ動向、レアル、そして財政改革への取り組みが重要と見られます。今後のブラジル市場は10月の大統領選挙で当選したジャイル・ボルソナロ次期大統領の手腕が問われる展開となりそうです。

ブラジル中銀:市場予想通り政策金利を6.50%に据え置き

 ブラジル中央銀行は2018年10月31日まで開催した通貨政策委員会(COPOM)で、市場予想通り政策金利を過去最低の6.50%に据え置くことを全会一致で決定しました。

 通貨レアルが上昇に転じたことで(図表1参照)、インフレ率上昇懸念が後退したと説明しています。年金改革などレアル市場にプラスとなる政策を掲げるジャイル・ボルソナロ氏の大統領選挙勝利を織り込み(10月28日決選投票で当選)レアルは上昇に転じていました。

どこに注目すべきか: COPOM、インフレ率予想、年金改革

 ブラジル中銀が政策金利を据え置いたのは市場予想通りですが、声明文から、今後の展開を占う上で注目すべきポイントは、インフレ動向、レアル、そして財政改革への取り組みが重要と見られます。今後のブラジル市場は10月の大統領選挙で当選したジャイル・ボルソナロ次期大統領の手腕が問われる展開となりそうです。

 今回据え置きの背景として、ブラジル中銀は年初の想定に比べ景気回復ペースが緩やかなことと、インフレ率の落ち着きをあげています。インフレ率の水準については、前回(9月COPOM ) に続き今回も適切と表現しています( 8 月COPOMでは「低い」と表現)(図表1参照)。

 ブラジル中銀のインフレ率予想(拡大消費者物価指数(IPCA))は18年末が前年比4.4%と、前回COPOMでの予想(4.4%)を維持しましたが、19年については同4.2%と前回予想の4.5%から下方修正しました。予想の前提となる為替レートは今回のCOPOM時点ではレアルが対ドルで3.70レアルが使われています。一方、9月COPOM時点の想定レートは4.15レアルで、市場動向にあわせ1割強レアル高を想定しています。逆の言い方をすれば、レアル高がインフレ率の低下要因と見られます。

 次に、レアルの動向に影響を与える要因としては、海外要因として米国などの利上げと、貿易摩擦が想起されます。

 国内要因としては財政、とりわけ年金改革の展開がレアルの動向を強く左右すると見られます。そこで、ボルソナロ次期大統領の年金改革の見通しを、現段階で明らかとなっている(限られた)情報で占います。

 まず、ブラジルで年金改革を行うのに必要な条件を見ると、憲法改正が年金改革に求められるため、上下両院で6割以上の賛成が求められます。例えば下院(定数513議席)では308票が必要です。現地報道機関の下院議員に対するアンケートでは4割強、200人以上が、新たに年金改革案が提案されるならば賛成する意向を示しています。現職のテメル大統領の年金改革案でない、新たな提案が求められています。

 なお、いかなる年金改革にも反対という強硬派は60名以内と見られ、その他200人以上は様子見姿勢です。

 ボルソナロ次期大統領は新たな年金改革案を検討中で、初期の提案は年内にもまとめる意向を述べています。ただ、同時にボルソナロ次期大統領は年金受給開始年齢の65歳への引き上げは年内に議会を通過する見込みはなく、改革は慎重に進める意向は見受けられます。

 ただ、ボルソナロ氏は大統領の決選投票で約55%の得票を獲得しましたが、所属する社会自由党(PSL)の獲得議席は第2党とはいえ、下院で52議席と、全体の1割程度です。年金改革に反対する労働者党(PT) の56議席も下回ります。準備を進めている年金改革案がさらに他の政党の同意を得られるかに注意は必要です。

 年金改革の進展次第ながら、レアルの落ち着きは朗報で、ブラジル中銀も当面は据え置きを維持すると見られます。



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