全体に堅調ながら、ささやかな変化も気になる米雇用統計 | ピクテ投信投資顧問株式会社

全体に堅調ながら、ささやかな変化も気になる米雇用統計 北米 米国

11月の米国雇用統計は失業率など、引き続き雇用市場の堅調さを示唆する指標が見られます。雇用市場を水準で見れば依然高水準を維持していると思われます。しかしながら、変化の方向に目を向けると、次のような気がかりな点が雇用統計並びに、他の雇用関連指標に見られます。

米国11月雇用統計:非農業部門雇用者数は市場予想を下回り、平均時給も鈍い動き

 米労働省が2018年12月7日に発表した雇用統計によると、11月の非農業部門雇用者数は前月比15.5万人増と、市場予想(19.8万人増)、前月(23.7万人増と速報値25万人増から下方修正)を下回りました。

 家計調査に基づく11月の失業率は3.7%で市場予想、前月(共に3.7%)に一致しました。平均時給は前月比0.2%増と、市場予想(0.3%)を下回りました(図表1参照)。前月は0.1%増と速報値0.2%増から下方修正されました。前年比では3.1%増で、市場予想、前月(共に3.1%)と一致しました。

どこに注目すべきか:米雇用統計、新規失業保険申請件数、時給

 11月の米国雇用統計は失業率など、引き続き雇用市場の堅調さを示唆する指標が見られます。雇用市場を水準で見れば依然高水準を維持していると思われます。しかしながら、変化の方向に目を向けると、次のような気がかりな点が雇用統計並びに、他の雇用関連指標に見られます。

 非農業部門雇用者数が市場予想を下回るなど軟調であった背景の一部は、天候要因による建設セクターの低下や、原油価格下落による鉱業セクターの不振という固有の事情も見られます。

一方で、非農業部門雇用者数の増減との連動が高いといわれる信用格差(クレジット・スプレッド:拡大すると非農業部門雇用者数は減少)は10月頃から拡大傾向です。雇用者数が前月比で15万人台なら、人口の伸び等から適切な水準とも見られますが、今後の動向には注意が必要です。

念のために繰り返しますが、米雇用市場が「悪い」と判断する材料は乏しく、米ISM雇用指数も製造業、非製造業共に水準は60前後と堅調と見ています(図表1参照)。ただ、今後の伸びに、一部鈍化の兆しを指摘しています。

 次に、失業率を見ると、11月も3.7%と、先月、先々月に引き続き水準的には60年代にまでさかのぼる必要がある低水準となりました。失業率の低下に伴い、新規失業保険申請件数も低下傾向でした(図表2参照)。ただ、例えば昨年9月頃のハリケーンの影響で新規失業保険の申請が一時的に上昇する局面はありますが、同件数は傾向的に低下していました。ただ、足元は一時的ではなく、新規失業保険の申請件数が緩やかに増加するという、やや異なるパターンが見られます。今後の同件数の推移を占う十分な材料は持ち合わせませんが、注目は必要と見ています。

平均時給の伸びも前年同月比では3.1%増と、市場予想に一致し、堅調な面が見られます。米国景気が引き続き堅調に伸びていることを示していると見られます。

 ただ、平均時給の短期的な変化として前月比を見ると0.2%増と市場予想を下回り、前月も下方修正されるなど気になる面も見られます。また、週平均労働時間は34.4時間で、前月(34.5時間)から減少し、直近のピークである6月の34.6時間から低下しています。労働時間の減少は、平均時給を変動させる場合もあり、今後の動きに注目しています。

米国雇用市場は全般に堅調で、悪化を想定する材料は不十分ながら、変化の兆しに注目しています。

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