気候変動リスクを語るグリーン・スワン | ピクテ投信投資顧問株式会社

気候変動リスクを語るグリーン・スワン 梅澤利文 グローバル

気候変動リスクへの関心が高まっています。中央銀行が金融政策の大枠の中で気候変動リスクが金融安定に影響を与えるかを検討することは、以前は話題にもなりにくかったと思われます。もっとも、本当にECBが気候変動リスクにどこまで、そしてどのように関与するかは先の話です。今回はグリーン・スワンについて紹介します。

気候変動リスク:ECBラガルド総裁が気候変動リスクへの将来的な対応を示唆

 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は2020年1月23日の定例理事会後の会見で、戦略の見直しの概要を説明しました。戦略見直しの主体は金融政策運営などですが、ラガルド総裁はECB(中央銀行)による気候変動リスクへの対応にも意欲を示しました。

 会見でラガルド総裁は、気候変動リスクに取り組む意向の背景として、中央銀行の中央銀行と呼ばれることもある国際決済銀行(BIS)の報告書を全く無視することはできないと述べています。その報告書のタイトルは「グリーン・スワン(緑の白鳥)」となっています。

どこに注目すべきか:グリーン・スワン、気候変動、金融システム

 気候変動リスクへの関心が高まっています。中央銀行が金融政策の大枠の中で気候変動リスクが金融安定に影響を与えるかを検討することは、以前は話題にもなりにくかったと思われます。もっとも、本当にECBが気候変動リスクにどこまで、そしてどのように関与するかは先の話です。今回はグリーン・スワンについて紹介します。

 まず、グリーン・スワンと題されたBISの報告書の冒頭部分では地球が直面する気候変動リスクを指摘しています。具体的には二酸化炭素の温室効果による気温の上昇が、経済そして、金融システムにも影響を与える可能性があると指摘しています。

 二酸化炭素の濃度の推移を気象庁のデータを参照してみると平均濃度は410ppm(ppmは100万分の1)前後で推移しています。なお、1年以内の上下の細かな変動は、植物の光合成が冬よりも夏に盛んになることで起きる変動と見られます(図表1参照)。

 問題なのは長期的な傾向線(図表1の直線)に示したように、二酸化炭素の濃度が右肩上がりで上昇していることです。BISによると、現在の二酸化炭素の濃度は人類が経験したことの無い水準であることが示されています。

 二酸化炭素濃度は270~280ppm程度で紀元前より安定的に推移してきました。しかし、産業化が進み1959年に315ppm程度に上昇し、2016年に400ppmを超えるなど急上昇しています。これに伴い平均気温も確実に上昇傾向となっていることが指摘されています。気温上昇に伴い、海面上昇や異常気象など様々な気候変動が引き起こされた可能性があり、今後さらに悪化が懸念されると指摘しています。

 報告書の題名ともなった「グリーン・スワン」についてですが、これはめったに起きないが、起きたら市場に甚大な悪影響を及ぼす「ブラック・スワン(黒い白鳥)」の気候変動リスク版と捉えられます。ブラック・スワンの3条件は①めったに起きず、②起きたら影響が大きい、に加えて、③起きて初めて説明されるとされています。

 グリーン・スワンはブラック・スワン同様ファットテール(めったに起きないリスク)という点では共通しています。しかし違いもあります。まず、グリーン・スワンと呼ぶ気候変動リスクは、いつ起きるかが不確実なのは共通ですが、原因の累積は二酸化炭素のように明確なことです。その意味で、対策が取れる可能性があるともいえます。

 次に、気候変動リスクは極端に悪化した場合、通常の金融システムリスクより深刻な問題となる可能性があります。

 最後に、気候変動リスクはブラック・スワンが想定する金融リスクと違い、リスクの測定の困難さがあげられます。気候変動の責任を誰が負うべきかなどを考えることは(政治的に)きわめて複雑な問題があるように思われます。

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