Article Title
⽇本の財政から投資の必要性が⾒えてくる② 〜インフレについて〜
2018/02/21

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要
  • インフレでモノの値段が上がるなかで、借⾦はどうなるでしょうか。借⾦の額はインフレになっても変わりません。
  • インフレが発⽣した場合、お⾦を貸す側(貸し手)とお⾦を借りる側(借り手)のどちらが有利でしょうか。それは借り手です。
  • 世界で一番たくさん⽇本円を借りているのは誰でしょうか?それは⽇本政府です。⽇本政府はインフレで借⾦の価値を減らせるだけでなく、増税するよりも大きな税収増効果も期待できます。政府・⽇本銀⾏が2%インフレを標榜するのは、⽇本政府にインフレのインセンティブが働いているからとも言えるのではないでしょうか。



Article Body Text

インフレになると借⾦の額はどうなるか

前回、インフレとはモノの値段が上がり、お⾦の価値が下がる現象と説明いたしました。それでは、インフレになると借⾦はどうなるのでしょうか。借⾦の額はインフレになっても変わりません。例えば、インフレで1個100円の消しゴムが1個10,000円になっても、100万円の借⾦は100万円のままです。

インフレ時代にお⾦の貸し手と借り手どちらが有利か

ここで、インフレが発⽣した場合お⾦を貸す側(貸し手)とお⾦を借りる側(借り手)のどちらが有利か考えてみましょう。預⾦として「銀⾏にお⾦を預ける」⾏為は「銀⾏にお⾦を貸す」⾏為です。すなわち、預⾦者は銀⾏へのお⾦の貸し手であり、預⾦⾦利は銀⾏の借⼊⾦利です。今、都内のマンションの価格が5,000万円、チョコレート一枚が500円とします。そこで、銀⾏から5,000万円を借りてマンションを購⼊し、その後インフレにより、チョコレート一枚が5,000万円になった場合、チョコレート一枚買うのを我慢するだけで借⾦を返済することが可能になります。一⽅、5,000万円の銀⾏預⾦があっても、チョコレート一枚しか買えません。よって、インフレの時代では借り手が有利とわかります。但し、お⾦を借りるということは、「将来にわたって借りたお⾦を返済していき、返済までの間の利息を⽀払っていく」という義務を負う⾏為だということを忘れてはなりません。

世界で一番⽇本円を借りているのは誰か

インフレの時代に借り手が有利であることがわかりました。さて、それでは世界で一番⽇本円を借りているのは誰でしょうか?それは⽇本政府です。財務省の発表によれば、2017年12⽉末で、国の借⾦(国債+借⼊⾦+政府保証債)は1,085兆円になりました。近年、歳出面では高齢化の進展等に伴う社会保障関係費の増加や国債費の膨らみを主因に、歳⼊面では税収伸び悩みを主因に国の借⾦は増加しています。しかし、⽇本政府は積み上がった借⾦の価値をインフレにより減らすことができるのです。更に、インフレによって増税するよりも大きな税収増効果も期待できます。例えば、1個100円の消しゴムの消費税は税率8%で8円です。税率を10%に引き上げても10円ですが、インフレで消しゴム1個が10,000円になれば、8%の税率のままでも税収は800円になります。政府・⽇本銀⾏が2%インフレを標榜するのは、⽇本政府にインフレのインセンティブが働いているからとも⾔えるのではないでしょうか。


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事



ESG投資や新興国投資について学びたい方へ

コラム

もっと詳しく学びたい方へ

図解で学ぶ投資のトピック

投資の基礎を学びたい方へ

投資を始める前に知っておきたいこと