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⽇本の財政から投資の必要性が⾒えてくる⑥ 〜⽇本銀⾏のバランスシートを別の角度から検証〜
2018/05/14

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概要
  • ⽇本銀⾏は、2013年4⽉の⾦融政策決定会合で、「異次元緩和」と呼ばれている⻑期国債買⼊れ拡⼤と年限⻑期化を決定しました。その際、⾃主的に定めた「銀⾏券ルール」の⼀時停⽌も決定しています。
  • 前回、⽇本銀⾏の現在のバランスシート(以下、BS)を第二次安倍政権誕生前と比較しましたが、ここでは、経済規模が⼤きく違う⽶国の中央銀⾏にあたるFRB(連邦準備銀⾏)と比較し、検証してみます。
  • ジャスダックに上場している⽇本銀⾏の株価は⻑期間に亘って低迷しています。



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「銀⾏券ルール」の制定と⼀時停⽌

⽇本銀⾏は、2001年1⽉の⾦融政策決定会合で、⾦融緩和策とともに、国債保有残⾼の上限は銀⾏券発⾏残⾼までとするいわゆる「銀⾏券ルール」を決定しました。これは、財政ファイナンスを目的とした⻑期国債の買⼊れはしないということを明確にしたものです。現在の⽇銀のBSを⾒てみましょう(図表1)。負債にある発⾏銀⾏券残⾼は101兆円に対して、資産にある国債残⾼は436兆円となっており、「銀⾏券ルール」から大きく逸脱しています。これは、2013年4⽉の⾦融政策決定会合で、「異次元緩和」を決定するとともに、「銀⾏券ルール」の一時停止を決め、継続的な国債購⼊を可能にしています。


出所:日本銀行のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

FRBとの比較、⽇本銀⾏の課題

図表2の⽇本銀⾏のBSは、FRBのBSと比較するため、米ドル建に引き直したものです。米国も2017年8⽉時点では、資産の買⼊を⾏っていた時期ですが、資産合計を比較すると図表3のFRBより⽇本銀⾏の資産合計が上回っていることがわかります。図表4で、⽇米のGDP額を比較しています。GDPすなわち経済規模が⽇本の3.8倍ある米国のFRBの資産額を⽇本銀⾏は上回っている状態です。米国は2017年秋以降、量的緩和の縮⼩に舵を切ったことに対して、⽇本は量的緩和を継続しています。⽇本銀⾏は国債を市場から買⼊れているものの、実質、財政ファイナンスを⾏っている状態とも⾔え、⽇本銀⾏の株価低迷が警鐘を鳴らしているようにも思われます(図表5)。


出所:日本銀行、米国連邦準備制度、IMF、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成


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