ブランド|企業業績は底堅く、株価の反発に期待
●プレミアム・ブランド企業の直近四半期決算は概ね底堅い内容。一方、中東情勢の消費への影響を懸念する向きは大きく、株価は出遅れ
●過度な懸念が後退し、消費者心理が回復に向かうとの期待が高まれば、バリュエーション面の魅力もあり、良好な企業決算や経済指標の発表を待たずして株価は反発する可能性も
直近四半期決算は概ね底堅い内容。一方、中東情勢の消費への影響を懸念する向きは大きく、株価は出遅れ
プレミアム・ブランド企業の直近四半期決算(主に2026年1-3月期)の内容は、概ね底堅いものでした。特に、米国市場では個人消費(特に富裕層)は依然として堅調であること、中国市場では緩やかながらも回復基調にあることが示されました。一方、欧州は中東における戦争により、航空旅客数が減少し、旅行者による購入が減少したことなどによってマイナスの影響を受けた企業もみられました。
特に、4月中旬に発表が相次いだLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンやエルメス・インターナショナルなど欧州の高級ブランド大手企業については、中東地域における売上高依存度は限定的であるにもかかわらず、中東における戦争の影響は、欧州への観光客数の減少・観光客による購入の減少というかたちで打撃を与え、市場の期待には届かない売上高成長にとどまりました。市場予想を下回る決算を発表したのは一部の企業にすぎませんが、中東情勢を巡る不透明感やそれらが消費に与えるマイナスの影響に対する懸念が高まり、払拭されるには至っていません。2026年4月以降、株式市場は米国とイランの停戦合意への期待やAI(人工知能)の成長性に対する再評価などから、上昇に転じていますが、そうしたなかでもプレミアム・ブランド企業の株価は上値が重く、出遅れ感がみられます(2026年5月22日時点)。
※「【ご参考】 サブセクター別にみた、主な企業の直近(主に2026年1-3月期)決算動向と運用チームの視点・注目点など」も併せてご参照ください。
相対的なバリュエーションの魅力が高まるプレミアム・ブランド企業の株式
プレミアム・ブランド企業の株式のバリュエーション(投資価値評価)水準は足元で低下傾向がみられます。特に、相対的なバリュエーションの魅力が高まっている可能性が示唆されています。先進国株式との比較ではこれまで長い間、プレミアム・ブランド企業の株式は高いプレミアムがついた状態で取引されてきましたが、そのプレミアムは足元で低下しています。
プレミアム・ブランド企業の株式の予想株価収益率(PER)注と、先進国株式の予想PERを比較した相対予想PERでみると、足元では過去10年間の平均を大きく下回る水準へと低下しています。
注:当ファンドと同様の運用を行うルクセンブルグ籍のファンド(Pictet-Premium Brand)の各月末時点の組入銘柄の組入比率で加重平均して算出した予想PER。
個別銘柄の例をみると、当ファンドの投資先でもあるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンやエルメス・インターナショナルは、足元の予想PER水準がそれぞれの過去10年間の平均を大きく下回る水準にあります。一方、現時点では底堅い利益推移が予想されています(予想はI/B/E/S集計値)。2026年1-3月期の売上高の発表後、株価が大きく下落しましたが、これはやや過剰な反応であった可能性もあります。
堅調な米国の富裕層の消費と中国の根強いプレミアム・ブランド需要が支えるプレミアム・ブランド企業の業績動向
現時点では消費動向、とりわけプレミアム・ブランド企業の提供する商品・サービスへの需要はしっかりしており、プレミアム・ブランド企業の業績を支えると考えられます。
世界的に大きな消費市場である米国については、大手クレジットカード企業各社が直近四半期決算の発表時に、特に富裕層の消費は引き続き堅調であることに言及しています。
※「【ご参考】 サブセクター別にみた、主な企業の直近(主に2026年1-3月期)決算動向と運用チームの視点・注目点など」も併せてご参照ください。
また、中国における高級ブランド商品をはじめとしたプレミアム・ブランド需要についても根強く存在しているとみています。中国の不動産管理・商業運営企業であるチャイナ・リソーシズ・ミックスシー・ライフスタイルが運営する高級ブランドのショッピングモールにおける昨年2025年通期の既存店売上高は前年比+15.3%と、中国の小売売上高(前年比+3.7%)を上回る成長率を達成しています。
今後の見通し|短期的に値動きが大きくなる可能性には留意しつつも、その後の反発に期待
当面は、中東における戦争の影響から、トラベルリテール需要の減少や航空旅客数の減少、消費者心理の冷え込みなどを懸念し、プレミアム・ブランド企業の株価は、業績への実際のインパクト以上に、大きく変動する可能性があり、引き続き中東情勢を巡る動向については注視する必要があります。しかし、現時点では、プレミアム・ブランド企業の業績動向は、底堅く推移すると予想しています。
当ファンドのポートフォリオにおいて中核的な存在である高級ブランド銘柄群についても、総じていえば、底堅い業績動向が期待できると考えています。確かに、欧州の大手高級ブランド企業の一角は、直近四半期売上高が市場の期待に届きませんでした。一方で「クワイエット・ラグジュアリー(ブランドのロゴや派手な装飾を控え、上質な素材や仕立ての良さで本質的な豊かさを表現する贅沢)」の代表格であるカシミア衣料などで有名なイタリアのブルネロ・クチネリや、アジアで販売好調なモンクレールは、直近四半期売上高でも2ケタ増収ペースが続きました。また、「カルティエ」や「ヴァンクリーフ&アーペル」などを傘下に有するフィナンシエール・リシュモンの1-3月期売上高は前年同期比+13%(為替変動の影響を除いたベース)、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンの宝飾部門(「ティファニー」や「ブルガリ」などが含まれる。同+7%(為替変動等の影響を除いたベース))は堅調といえる直近四半期売上高成長を記録しています。宝飾品は資産性が高いことから、インフレ懸念が高まるなかで注目を集めている模様です。
さらに、2026年は世界的なイベントが多い年であることにも注目しています。2月に開催された冬季オリンピックのほか、6月からはFIFAワールドカップの開催が控えています。こうした世界的なイベントは、トラベル関連やスポーツ関連のプレミアム・ブランド企業の業績を押し上げることが期待されるほか、旅先で様々なプレミアム・ブランド商品(高級ブランド商品、化粧品、高級酒など・・・)の購入が増加する可能性もあります。また、多くのプレミアム・ブランド企業(スポーツ関連分野だけでなく、高級ブランド分野の企業も)は、これまで以上に世界的なスポーツイベントへスポンサーなどとして関与を深めていることも、販売増への波及効果が期待されます。
足元でプレミアム・ブランド企業の株価は依然として上値の重い展開となっていますが、過度な懸念が後退し、消費者心理が回復に向かうとの期待が高まれば、バリュエーション面での魅力もあり、良好な企業決算や経済指標の発表を待たずして株価は反発する可能性があるとみています。
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